トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 英語のプロに聞く、英語学習法
【インタビュー前編】

「英語が喋れるようになりたい」で毎年大勢挫折するのはなぜか? 英語のプロに聞く英語学習法

■「見るだけ」「聞くだけ」では英語は上達しない

――プロでも勉強を続けているんですね。

渡部 もちろんです。私の中の英語学習のイメージとして、まずベースとして中学英語の文法があります。そして、その上に「英語のジャングルジム」みたいなものが建っているんです。

 ジャングルジムはひとつひとつマスがありますよね。その中のマスたちを、日々の実戦、反省、気づきと勉強で埋めていくんです。例えば「不定詞が弱いな」と気づいたら勉強して自分のものにしていき、「不定詞」のマスを埋める。そうやってマスをコツコツと埋めていくんです。そして、記憶は薄れますから、忘れたらまた勉強して……の繰り返しです。

――近道はないんですね。

渡部 はい。ただ、英語学習において余計な遠回りをしてしまっているケースはありますね。

――「遠回り」とはどんなことでしょう。

渡部 脳の仕組みから物事の習得のコツには2つあって、まずは「繰り返すこと」です。ですので、おすすめできない遠回りの学習法は「1日新しい10単語を覚えていく」ということですね。これで年間10×365=3650単語覚えられる、とはなりません。脳は常に情報を捨てようとします。忘れるのが当たり前なので、これはどうやら重要らしい、と脳に理解させるために、何度も何度も繰り返さないといけないんです。

――毎日真剣に10単語覚えるより、同じ英単語をひたすら繰り返す方が、脳にとっては効率的なんですね。

渡部 はい。物事の習得のコツ2つ目は「五感を使うこと」です。英語の場合は「読む、書く、話す、聞く」。ですので、お勧めできないのは「見るだけ」や「聞くだけ」です。

――聞くだけで、ある日突然英語は口から出てこないと。「年間360本の洋画を見たのにさっぱり英語がわからない」というのには理由があるんですね。

渡部 字幕があると、英語を聞いているように思っていても、日本語字幕を読んでしまっているんですよね。ただ、洋画も使い方によっては効果的ですよ。私が徹底的にやったのは英語の映画やテレビドラマを、字幕を出さないで見て、何と言っているのか推測することです。これはお勧めします。

 知らない単語は当然聞き取れませんが、知っている単語を聞き取れないのは音に慣れていないからなんです。それを見極めるのが大切なんです。

――単語を知らなければ語彙不足であり、既に知っていたら耳が慣れていないということで、原因が違いますもんね。そうすると100本の洋画をひたすら見るよりは1本の洋画を何度も繰り返し見るのがいいんでしょうか?

渡部 気に入った作品を続けて見るのはいいと思いますね。「聞くだけ」や「読むだけ」で伸びなかったというケースはありますが、五感を使った練習をしても全然伸びなかったという人は見たことがないです。

 

■英語のプロでも「三日坊主がいっぱい」は多い

――先ほどもお話がありましたが、文法は中学レベルで大丈夫なんですね。

渡部 基本としてはまずは中学英語です。より複雑なことを言うのには、その上も必要になってきますが、まずは中学英語の文法が必要です。ですので、学生時代英語が得意だったという人は問題ないですが、英語が苦手だった人は、まず中学文法は克服したいですね。

――思えば、中学英語の文法って、今も覚えていますよね。一週間前のテレビやネットの内容はすっかり忘れていても、中学英語は卒業して数十年たつのに覚えているというのも、やはりひたすら当時「くり返した」ことで脳に染み付いているんでしょうね。

渡部 文法書は辞書のように使うといいですよ。前置詞のルールってどうなっていたっけ? と分からないことがあるときに調べる。文法の本を一から読むと途中で嫌になってしまいますよね。日本人は真面目なので、挫折経験があると自分を責めてしまいますから。

 学習は「三日坊主をいっぱい」でいいんです。英語の先生は一冊の参考書をやりなさいと生徒さん方に話しがちなんですが、先生同士で話すと「飽きちゃうから三日坊主を続けている」という人は多いですよ。三日坊主でも、また別の英語の学習をすれば、結果的には「英語学習」という輪をぐるぐる回っていることになります。英語を仕事にしている人はそういう方たちが多いですよ。

『英語がサクッと口から出る 英語の「筋トレ」4センテンス繰り返しCDドリル初級編』(主婦の友社)

――なるほど。「まずは目的を具体的に持ち、語彙はひたすらくり返し、文法は中学英語をしっかりと」ということですね。あと重要なことは何でしょうか?

渡部 英語を使う環境に積極的に身を置くことです。「漠然と話す機会がない」と言うのではなく、「話して使っていくのだ」というハートで動くことです。何も座学だけが勉強ではありません。外国人のお姉さんと英語で話すのだって勉強のひとつです。

 中編では引き続き渡部氏に、「英語を仕事にすること」について伺っていく。

 (文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

■渡部泰子
東京生まれ。TOEIC985点。総合商社、外資系企業などに勤務後独立。株式会社マグノリア・コンサルティング代表。通訳、リサーチや海外とのコーディネーション、個人/企業向けの英語トレーニングを行っている。

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

★好評発売中!!
『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』(CCCメディアハウス) 

最終更新:2018/11/24 21:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画