アクションからコメディ、濡れ場まで……女優・清野菜名は万能すぎ!
#女優の花道
コメディパートと同じくらい、ケンカパートの見せ場が多い作品のため、出演俳優はアクションシーンでも奮闘している。そんな中でも清野のアクションは別格で、あまりにうますぎて、さらっと流れてしまうのだが、そんなところにも毎回感心している。
清野は現在24歳。もともと、ローティーン向けのファッション雑誌「ピチレモン」(学研プラス)の専属モデルとして活躍していたが、高校入学を機に上京。映画『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチのアクションシーンに衝撃を受け、高校時代は事務所の紹介でアクション監督・坂口拓のアクション養成所に通い、スキルを学んだ。
その後、女優へと転身。しかし当初は仕事が少なく、ボディダブル(演技の吹き替え、出演者が出られないシーンの替え玉。楽器の演奏やアクションの代役などが多い)ばかりだった。
女優を辞めようかと迷っていたところ、2014年に園子温の映画『TOKYO TRIBE』のオーディションに応募する。1度目は落選するが、2度目のアクションメンバーのオーディションで監督の目に留まり、急きょ・ヒロインのスンミ役に大抜擢された。アクションだけでなく、ヌードや濡れ場もある過激な役柄だったが、本作で高い評価を受けた清野の出演作は急増した。
翌年には、押井守監督の映画『東京無国籍少女』で主演を務める。清野が演じたのは、心身を病んだ高校生・藍。美術高校を舞台に、妄想と現実が入り混じった日常が淡々と描写されていく観念的な作品だが、物語後半に怒涛のアクションシーンがある。このアクションも日常の芝居と地続きになっていて、作品のテーマと見事合致していたことに驚かされた。
その後、連続ドラマ『ウロボロス〜この愛こそ、正義。』(TBS系)等の作品に出演し、アクションができることが売りの女優として注目を浴びた清野だったが、近年は『やすらぎの郷』や『トットちゃん!』(ともにテレビ朝日系)などのドラマにも出演、演技派としての評価が高まっている。そして今年は、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインの親友・裕子を演じたことで、その知名度は全国区のものとなった。
アクションを入り口に、女優としての道を切り開いてきた清野。コメディから激しい濡れ場まで、なんでも自然にこなせるシームレスな演技は、彼女が持つ最大の武器である。
(文=成馬零一)
●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。
◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆
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