BTS「原爆Tシャツ」「ナチス衣装」が国際的な問題に ドームツアーは強行するのか
韓国のアイドルグループ・BTS(防弾少年団)の「原爆Tシャツ」騒動が、まだ炎上を広げている。騒動は日ごとに大きくなり、いまや「原爆Tシャツ」だけではなく、次々と新たな薪がくべられ延焼し続けている。
BTSのメンバー・ジミンが、過去に原爆のきのこ雲と万歳する韓国国民がデザインされたTシャツを着用していたことを発端に、大問題へと発展しているこの騒動。BTSは11月9日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)への出演を予定していたが、急きょ取り止めになった。
8日、『ミュージックステーション』は公式サイトにて、<以前にメンバーが着用されていたTシャツのデザインが波紋を呼んでいると一部で報道されており、番組としてその着用の意図をお尋ねするなど、所属レコード会社と協議を進めてまいりましたが、当社として総合的に判断した結果、残念ながら今回はご出演を見送ることとなりました>と、BTS出演見送りの理由が件のTシャツにあることを説明している。
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これについてアメリカやイギリスの主要メディアも報道。米CNNは9日、BTSが日本の歌番組『ミュージックステーション』への出演を取り止めたことを報じ、その経緯にある「原爆Tシャツ」騒動を説明したうえで、<韓国と日本はともに第二次世界大戦の遺物に対してとくに敏感だ。朝鮮半島は1910年から1945年まで日本の支配を受け、第二次世界大戦で日本が負けて独立することができた>と説明を加えた。
また、英BBCは、日本のネットで批判の声が高まっていることを説明し、先の戦争を踏まえて<これは両国双方にとって極めて敏感なテーマ>と表現して伝えた。
どちらもBTSの「原爆Tシャツ」をめぐる騒動の根本を端的に伝えている。第二次世界大戦で日本が原爆を落とされて降伏した歴史は、韓国にとっては解放のきっかけとなった祝福すべきことだとの認識がある以上、その主張を表面化すれば対立化し、騒動は必然となる。国際的なアーティストであるBTSメンバーが、このデリケートな題材をモチーフにした洋服を着用したことが、日本での反発につながることは予想できただろう。
日本でも多くのBTSファンは、「他意はない」「彼らは反日ではない」と擁護するが、意図的かどうかや“反日”か否かは問題ではなく、この騒動は、いわゆる日本の“ネトウヨ”が韓国に言いがかりをつけただけ、では落とし込めないところまで発展している。
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BTSのナチス連想パフォーマンスにユダヤ人団体が抗議「謝罪を」
さらに波紋は広がっている。韓国のファッション誌「CeCi(セッシ)」の2014年9月発売号に掲載されていた写真も炎上中だ。それは、メンバーがナチスのハーケンクロイツがデザインされた帽子をかぶっているもの。画像がネットで出回るや、「日本人じゃなくてもすごく悪趣味に思うはず」「日本だけじゃなく世界をバカにしているのか」などとさらにBTSへの批判の声が大きくなっている。
これに関連して、2017年に行われた韓国人歌手のソ・デジ(46)のコンサートで、BTSがナチスを想起させる軍服を着用して赤い旗を掲げるパフォーマンスを行っているYoutubeの映像も注目された。
BTS「原爆Tシャツ」「ナチス衣装」が国際的な問題に ドームツアーは強行するのかの画像2
問題となっているBTSの軍服パフォーマンス(SeoTaiji公式Youtubeチャンネルより)
このパフォーマンスを、米ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が問題視。副署長のエーブラハム・クーパー氏が11日、<原爆被害者をあざけるTシャツの着用は、過去をあざけるこのグループの最新の事例にすぎない>と指摘し、< BTSは日本の人々とナチスの被害者に謝罪すべきだ>との声明を出すに至った。もはや、日韓の問題では済まないところにまで飛び火しているのだ。
ナチスを想起させる軍服といえば、2016年に日本のアイドルグループ・欅坂46がナチス風衣装を着用していたことに対しても、サイモン・ウィーゼンタール・センターは抗議している。ナチス風の衣装やパフォーマンスは、「ファッションだから」「他意はない」で許容できないというのが、国際的な歴史認識だ。
BTSは「自分たちは日本の被害者」という認識?
もちろん、この騒動は韓国でも大いに注目を集めている。11日付の「朝鮮日報」は、<偏狭な日本のテレビ局、防弾少年団の出演が相次ぎ白紙に>という記事タイトルで、BTSが日本メディアへの露出を制限されたことを報じ、<韓国のコミュニティーサイト「DCインサイド」「日刊ベスト貯蔵所」などでは「われわれも日本のAKBメンバーが所属している(韓日合同アイドルグループ)IZ*ONE(アイズワン)のテレビ出演を阻止しよう」と過激な反応も見られる。>と、韓国国内の動向を伝えている。
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そこかしこに火種はくすぶっていたにせよ、BTSの「原爆Tシャツ」の件を通じて、日本国内での嫌韓ムードが高まり、相乗的に韓国側の反発もヒートアップしているように見える。両者が冷静になることが望まれるが、今のところ、そのきっかけすら見つからない。
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BTSは年末にかけて、大型音楽特番『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)や『ミュージックステーション・スーパーライブ』(テレビ朝日系)への出演が打診されていたが、騒動を受けてすべて白紙に戻ったとの報道もある。また、NHKの『紅白歌合戦』においては、BTS騒動も含め韓国と日本の関係が悪化する中で、韓流ガールズユニット・TWICEが出場するか否か、NHKに注目が集まっている。
BTS は11月13日、14日に東京ドームにて「 BTS WORLD TOUR LOVE YOURSELF JAPAN EDITION」の公演を予定しており、これを皮切りとして、来年2月にかけて大阪・名古屋・福岡をめぐるツアーが控えている。日本の多くのBTSファンは予定通りの開催を望んでいるが、BTS側はどのような判断を下すのだろうか。興行開催で日韓双方の経済が潤うことは間違いないが、何事もなかったかのようにライブをすれば反発はいっそう強まるだろう。
もしBTS側の歴史認識として、「韓国は日本の支配による被害者であり、だからあのTシャツは愛国心の表現として間違っていない」というのであれば、表面的な謝罪で濁すよりも、堂々と主張して議論すればいいだろう。あのTシャツには日本で原爆被害に遭った広島・長崎の市民に対する思慮が欠如しているが、韓国側が「自分たちはもっとひどい被害者だ」との認識を持っている可能性もある。この日韓の歴史認識のすれ違いが解決しない限り、これからも同じような問題は何度でも繰り返されるだろう。
BTS側はまだ公式見解を出していないが、国際的な注目をこれほど集めている以上、沈黙したままワールドツアーを続けるわけにはいかないのではないだろうか。
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