トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『下町』菊之助がダースベイダー化

暗黒卿ダースベイダー化しちゃった尾上菊之助!! おっさんずラブも乱れ咲く『下町ロケット』第5話

■別れの季節は愛の告白、真っ盛り!!

 裁判が終わり、「佃製作所」は「ギアゴースト」の賠償金15億円を肩代わりせずに済み、万々歳です。「佃製作所」の社員食堂で祝勝会が開かれます。みんなが浮かれ気分の中、ひとりのオッサンが静かに職場を去ろうとしています。経理部長の殿村です。裁判の結果を見届けた殿村は、実家の農業を継ぐためにこの日でサラリーマン生活に別れを告げることにしたのです。「ロケット品質・佃ブランド」と書かれた標語にしばらく見入っていた殿村ですが、意を決してドアを開けると、そこで待っていたのは佃社長をはじめとする「佃製作所」の社員たちでした。

 殿村の新しい門出を、「佃製作所」のみんなで見送ります。社員を代表して技術開発部の山崎部長(安田顕)が目をウルウルさせながら「明日から、トノさんがいないなんて信じられない。みんな、トノさんのことが大好きなんです」と伝えると、殿村も「夢とか情熱とか、そんな形や数字にならないものを本気で語って、本気で受け止めてくれる、みんなが大好きだ!」と涙目で応えるのでした。今年の「流行語大賞」に『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)がノミネートされた影響もあるのでしょうか。「帝国重工」も「佃製作所」も、オッサンたちが激しく愛を告白しあうのでした。この場に違和感なく溶け込んでいる女子社員・アキも、なかなかの器です。

 ヤタガラス7号機の打ち上げに成功し、裁判にも勝利し、大団円で「ゴースト編」は完結するのかと思いきや、最後の最後に大ドンデン返しが待っていました。佃社長の機転によって窮地を救われた「ギアゴースト」ですが、伊丹社長は独断で重田社長(古舘伊知郎)のいる新興企業「ダイダロス」と資本提携してしまったのです。「ダイダロス」は「佃製作所」のライバル社です。このことを「ギアゴースト」の副社長である島津が申し訳なさそうに伝えると、佃社長は目が飛び出しそうなほどに驚きます。

 伊丹社長は「帝国重工」時代に、下請け企業が困らないような新しい経営プランの企画書を上司・照井課長(プチ鹿島)に提出したのですが、この企画書は酷評されまくった挙げ句に、伊丹は社内の墓場と称される総務部の閑職へと追いやられたのです。大企業にいながらゴースト社員となってしまった伊丹を追い込んだのは、実は次期社長候補の的場(神田正輝)でした。その事実を重田から教えられ、伊丹は別人へと豹変してしまったのです。

 人のいい、おぼっちゃん的だった伊丹社長ですが、重田から「一緒に的場に復讐しよう」と吹き込まれ、ダークサイドへと墜ちていきます。伊丹社長は「帝国重工」に復讐を遂げるため、“暗黒卿”ダースベイダーへと変身したのでした。副社長の島津が「伊丹くん、目を醒まして」と呼び掛けても、能面のように冷たい表情を見せる伊丹社長でした。尾上菊之助のこの変身シーンは歌舞伎俳優ならではの見せ場です。どうせなら、ダースベイダーみたいなヘルメットを被ってくれれば、さらに盛り上がったことでしょう。尾上菊之助はリメイク版『犬神家の一族』(06年)で佐清役を演じており、マスク姿には慣れていますから。

 

■前半戦をちょい総括すると……

 裏切りに続く、裏切りの連続で幕を閉じた「ゴースト編」。もうひとつ、裏切られたことがあります。今回、変人キャラの軽部(徳重聡)の出番が1シーンもなかったということです。前週は台詞がひと言ありましたが、今回は姿すら見せませんでした。これは軽部の変人ぶりを楽しみにしていた視聴者に対するTBSの裏切り行為ですよ。トランスミッションの開発を命じられている軽部がロケット発射に興味がまるでないのは分かりますが、会社の財政を担ってきた殿村が退職するにあたって、軽部がどんなリアクションを見せるかは気になっただけに非情に残念でした。湿っぽいのが嫌いな軽部は有休をとっていたのだと思いましょう。

 前半戦を振り返って、もうひとつもったいないなと感じたのは佃航平のひとり娘・利菜(土屋太鳳)のキャラもほとんど活かされていないことです。仕事に熱中する父親を尊敬する理想の娘像という枠から、まるではみ出すことがありません。財前部長と藤間社長との禁断の関係を知って、利菜はショックを受けて錯乱してしまうくらいのサプライズを後半は用意してほしいものです。

 10分拡大だった第5話の視聴率は12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。前週の13.3%からさらなるダウンです。ピコ太郎が熱演した第3話の14.7%が最高で、なかなか15%の壁を乗り越えることができずにいます。第2シーズンで勧善懲悪の展開に視聴者はすっかり慣れてしまっており、変人・軽部の出番を増やすなどのブースター的要素が今後は必要かと思われます。伊丹社長のダースベイダー化に呼応するかのように、次週「ヤタガラス編」からは農業ロボットも登場します。SF映画『スター・ウォーズ』的な展開となる「ヤタガラス編」で軽部が大いに活躍することを期待したいと思います。
(文=長野辰次)

最終更新:2018/11/12 20:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画