複雑に交錯する5つの心――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』第5話
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一方、栞は母親(岩本多代)を預けている施設にいた。痴呆が進み、栞のことを娘だとわからなくなっている母。そんな状態だったからか、寂しい気持ちを素直に話す。「好きな人がいるが、その人は今頃家族と一緒にいる」。
すると、母は言い返すのだ。「あなたには、私がいるじゃない」。
母としての記憶が戻ったのだろうか。栞は一瞬、「自分は一人ではない」と感じたことだろう。しかし、その一瞬は、母である悦子の、いやもしかしたら神様がくれた最後の優しさだったのかもしれない。直後、悦子は病状を急変させ、息を引き取る。
悲しみの中、栞は、完治の携帯に電話をかける。しかし、電話に出たのは、妻の真璃子であった。とっさに間違い電話を装った栞だったが、番号の登録してある女性からの電話。夫の浮気は決定的になったといっていいだろう。
同じ頃、浮気相手とメッセージのやりとりをしている美咲を見つけ、完治はそれをとがめて言い争いになる。「好きだからすぐには別れられない」そういう美咲の声を、密かに聞いていたのは日野だった。
ショックを受けた真璃子と日野は、旅館の庭で偶然出会う。お互いに何があり、何に傷ついたのかは知らない。しかし、どこか似たような境遇に置かれたことは、本能的に感じ取ったのかもしれない。話すうちに涙が溢れ出し、取り繕おうとする真璃子に、日野はキスをするのだった。
このキスは、同情だろうか? 愛情だろうか? 海外では、キスは挨拶などと言うが、日本では、もっと特別で複雑な意味を持つ。キスひとつでドラマが生まれるのだ。事実、真璃子はそのキスの意味を図りかね、思い悩む。
翌日、出社した完治は、栞の母親が亡くなったことを知る。葬儀の日、お焼香に出かけた完治は、帰りに寄った居酒屋で、マスター(小野武彦)に、心情を吐露する。「二人は付き合っている。でも、男と女の関係ではない。だからまだ不倫じゃないと思っていた」。完治もまた、“一線を越えるかどうか”が不倫の基準だと考えているのだ。マスターから、「自分がどうしたいか、それだけのこと」と言われた完治は、栞の家を訪ねる。
栞は泣いていた。「介護が負担だ」と言いながらも、彼女にとって母はたった一人の家族だったのだ。どう励ましていいかわからずにいる完治に、先日携帯に電話をしてしまったこと、そこで奥さんが出て、気付かれてしまったであろうことを話す。
「今ならまだ間違いを犯していない」と言って、完治を帰らせようとする栞を、完治は強く抱きしめ、キスするのだった。
完治、栞、真璃子、美咲、そして日野。お互いがお互いを想い合う、5人それぞれの心の糸。ぼんやりと絡まり合っていたものが、次第にはっきりとしていき、やがて強く惹かれ合うようになる。
「浮気」と「不倫」の違いが、体の関係があるかないかということであれば、「浮気」は止めることはできないだろう。それは、本能的に生まれてくることだからだ。だが「不倫」は違う。そこに「理性」を働かせて、自分を押し止める。最終的な幸福を考えて、一時的な感情に流されないことが大切なのだ。
もちろん、人間が理性だけで動けないことは十分承知している。ドラマの中で、複雑に絡み合った糸は、感情と理性の間でどのように解けていくのだろうか。
(文=プレヤード)
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