秘密を共有することで、二人は“共犯者”になる――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』第4話
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一方、完治と栞は、二人で山へデートに行くことになる。ロープウェイ乗り場で待ち合わせた二人だったが、その時、介護している栞の母・悦子(岩本多代)が骨折したとの連絡が入る。登山を断念し、悦子の元へ向かう二人。認知症の悦子は、完治を夫と思い込み、はしゃぐのだった。
真璃子は、帰ってきた完治の登山靴に土がついていないことで、どこか別なところにいたのではないかと疑念を抱く。ここでまた、疑念と秘密が生まれる。隠しているのは完治の方、しかし、真璃子は「夫の行動に疑念を持っている」という気持ちを隠しているのだ。この、秘密の連鎖が、このドラマのひとつの魅力だ。ある意味、ドラマを見ている視聴者も、その秘密を共有している。画面を通して、キャストの共犯者となったような気持ちになるのだ。
真璃子は、ひょんなことから美咲の代わりに日野と映画を見ることになる。日野と並んで座り、真璃子は夢想する。自分はまだ若くて美しくて、隣りにいるのは自分の恋人で――。ここで視聴者は、若い頃の中山美穂の姿を思い浮かべたのではないだろうか。長く活動している女優というのは、このようなところで強みが出てくる。
映画が終わって話すうち、日野は美咲への疑念を口にする。「彼女は他に好きな人がいるんじゃないか」と。
一方、悦子から夫との夫婦生活について聞かされた栞は、自分の、女としての人生を振り返る。そして完治に、正直な思いを話す。母は自分より女として恵まれていた。自分に自信がない、だからスイスの夜も関係を拒否した。こうやって自分の人生は終わっていくのだろうか――。そんな栞の手を、完治はそっと握るのだった。
二人はそのままホテルに向かう。ある意味、幸せの絶頂にいた完治。しかしそこで思わぬものを目撃する。部屋に行くエレベーターの中でキスをしていたのは、美咲と、年配の男性(高田純次)だったのだ。この瞬間、完治と美咲は、期せずして秘密を共有したことになる。二人は共犯者なのだ。
大きく動き出した家族の関係、そして、メインキャストは皆秘密を抱えている。ここで気になるのは日野の存在だ。いつもクールで優しい存在だが、どこか影を感じなくもない。日野は一体どのような秘密を抱えているのだろうか?
今回は、性に関わるシーンがいくつか見られた。完治が栞に「その先の関係を望んでいないか?」と問われ、「我慢する」と答えるところ。栞の母・悦子が亡き夫との経験を話すところ、美咲の首筋にあるキスマーク、そして、栞が完治に「自信がなくて怖かった」と言うシーン。いずれも、性的な関係を匂わせながら、決して直接的な表現を使っていない。
今のテレビは、過激なシーンをあまり流さなくなった。暴力的なシーンや、差別的なシーン、そして性的な描写も。丁寧に、下品にならないように性を語る。そこが、作り手の腕の見せ所である。
性の問題は、一番の秘密だと言える。今後、誰がどんな形で秘密を持ち、共犯者となっていくのか。期待して待ちたい。
(文=プレヤード)
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