本当のことを話せる相手に人は心を開いていく――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』第3話
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一方、真璃子は、友人の聡美(八木亜希子)に事情を話し、「離婚を考えることはないのか?」と問われる。「離婚は考えていない」と言いながらも、パソコンで離婚について調べたりもしてしまうのだった。そして、その画面を開いているところを、訪ねてきた娘の婚約相手・日野に見られてしまう。
美咲は、初めて日野の実家を訪ね、彼の母親・冴(麻生祐未)と会う。代々官僚の家系で、亡くなった夫は若葉銀行のかつての頭取とも仲が良かったという話を聞かされ、完治の出向のことは話せずじまいだった。
日曜日、頭取の秦(大谷亮介)、金田常務(伊藤正之)らが参加するゴルフコンペが開かれた。完治は、銀行復帰への意欲を見せようと、精一杯のおもてなしをする。しかし、かつて対立派閥に属していた完治をよく思っていない金田は、嫌がらせをする。
みんながみんな自分の心を押し殺して、接待の役を演じる姿。それを見た完治は、どこか虚しさを感じる。
「ゴマすり虫の群れだな」
そう思った完治は、接待を投げ出し、ゴルフ場を後にする。改めて栞を誘い、海を見に出かけたのだ。楽しいひとときを過ごした二人。別れ際、栞は名残惜しそうに完治に抱きつき、キスをする。
その頃、日野から真璃子に一本の電話が入る。離婚について調べていた真璃子を気にしてかけてきたのだ。夫の出向のことを話そうと決意した真璃子は、休日出勤をしているという日野の会社に向かう。
日野に夫の事情を話した真璃子。夫へのグチを言い、日野に優しい言葉をかけられるうちに、涙が溢れてくる。そんな真璃子に、日野はそっとハンカチを差し出すのだった。
完治にとっては栞が、真璃子にとっては日野が「本当のことを話せる」相手になった。家庭としてはいびつかもしれないが、その形は人それぞれのはずだ。100人いれば100通りの夫婦の形があって、100人いればそれだけの愛の形がある。ドラマはその中のいくつかを私たちに見せていてくれるにすぎない。良質なドラマというのは、そこに描かれた人物の背景にいる、たくさんの人の営みを感じさせるものなのだ。
今回、接待ゴルフのシーンや、出向先で邪険にされるところなど、かつての企業ドラマでよく見られた設定が出てきた。また、涙を浮かべた真璃子の涙を、日野がハンカチで拭うシーンや、栞とキスをした後、完治が空を見上げると星が流れるシーンなども、なかなかベタだなぁと思わされた。でも、そこがいいのである。
このドラマのターゲットは、完治と同世代の男女であろう。もちろん私もそこに含まれる。そんな世代の人たちが、見ていてちょっと懐かしい気持ちになれる。それが狙いなのだと思う。その演出に気づけるかどうかが、このドラマを楽しむための分かれ目だろう。
次回は、娘の美咲がクローズアップされる展開になりそうだ。果たして彼女が、本当の気持ちを話せる相手は誰なのか。来週も、古き良き時代のドラマを彷彿させるシーンが見られることを期待したい。
(文=プレヤード)
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