トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 次第に心を開いていく『黄昏』第3話

本当のことを話せる相手に人は心を開いていく――佐々木蔵之介主演ドラマ『黄昏流星群』第3話

フジテレビ系『黄昏流星群』番組公式サイトより

(前回までのレビューはこちらから)

 経団連の中西宏明会長が、今年になって初めて執務室にパソコンを導入したということが話題になっている。世の中の状況を見れば、「まさか」というような話だが、ビジネスの現場というのは意外に昔と変わっていない。出世における派閥争いや、接待ゴルフ、出向先での冷遇など、どこか時代遅れの感があるが、それは現代でも脈々と息づいている文化なのだ。

 ドラマ『黄昏流星群』(フジテレビ系)第3話でも、そんな企業の現状が如実に描かれていた。

 夫の完治(佐々木蔵之介)が若葉銀行から荻野倉庫に出向になっていたことを、秘書であった篠田(本仮屋ユイカ)から知らされた妻・真璃子(中山美穂)。自分に隠していたことにショックを受け、帰宅した完治を問い詰める。「妻としてそんなに頼りにならないのか」「自分が妻でいる意味は何なのか」、そう話す真璃子に、完治はただ謝ることしかできなかった。

 娘の美咲(石川恋)も、そのことを聞き、完治を責める。結婚を控えた美咲は、恋人である日野春輝(ジャニーズWEST・藤井流星)や、彼の家族への印象が悪くなることを心配したのだ。

 こうなることは予想がついたはずだ。では完治はなぜ、早く家族に伝えられなかったのだろうか。

 会社や学校で、人は多かれ少なかれ、自分の役割を演じている。それは“支店長”というような立場だったり、“冷静な人”というキャラクターだったりする。それは、社会の中でうまく立ち回るには必要なことだ。ただ、人は時々その“役割”から解放される時間が必要なのだと思う。

 本来、家族といる時間は、その解放された時間であって、本当のことを話し合えるのが理想なのだろう。ただ、時として家庭の中ですら“厳しい父親”や“耐える妻”という役割を演じるようになってしまうことがある。そうなると、その役割に縛られて、本当のことも言えなくなってしまう。それが、完治の家庭なのだろう。息苦しさを感じる中で、本当のことを正直に話せる相手を他に求めてしまっているともいえる。

 翌朝、完治は通勤する電車の中で、知り合いの御婦人と会う。「どうしてこの方向の電車に乗っているのか?」と問われ、素直に「今月から職場が変わった」と話す。見栄を張ったり、嘘でごまかすことはせず、本当のことを話せた。完治の中で、何かか吹っ切れたのかもしれない。職場でも、何とか業務の内容を理解しようと、部下の川本(中川家・礼二)にあれこれと尋ねるが、相変わらず彼の対応はそっけない。

 そんな中、唯一心のよりどころとなっているのが、社員食堂で見かける目黒栞(黒木瞳)の姿だ。社内では人の目もあるからと、挨拶もままならないが、メッセージアプリのやりとりに一喜一憂し、まるで青年のようなトキメキを感じている。

 そして、二人は翌週の日曜日、一緒に山に行く計画を立てる。その日を心待ちにしていた二人だったが、同じ日、完治の出向元である若葉銀行幹部のゴルフコンペがあり、アテンドとして彼も参加することとなってしまう。

12
ページ上部へ戻る

配給映画