メールも使ってなかった経団連……批判はされるけど、「むしろ便利じゃないか」説も?
平成も終わるのに、どうなってるんだ。「読売新聞」10月24日付朝刊に掲載された経団連の中西宏明会長に関する記事が波紋を広げている。
問題となった記事は同紙の連載企画「解剖財界」の中に記されたエピソード。この記事は、中西氏の改革者としての辣腕ぶりを紹介するものだ。ところが、その中で改革のエピソードとして、中西氏が会長に就任するにあたって会長執務室の卓上に初めてPCを持ち込んだと記述されていたのである。記事の中では、職員の「紙でやり取りしてきた職員の働き方を変えようとしている」という発言を取り上げ、中西氏の革新ぶりを称讃している。
だが、これに対してTwitterなどでは、これまで経団連トップの部屋にパソコンがなかったことに唖然とする声が寄せられている。中には「異世界転生モノ」などと評し、日本経済が衰退期に入っていることと絡めて語る人もいるのだ。
中西氏は、東京大学工学部電気工学科卒業後に日立製作所に入社。以降、スタンフォード大学大学院でコンピュータエンジニアリング学修士課程を修了。国際情報通信営業本部長などの役職を歴任した後に、日立製作所のトップに上り詰めている。つまり、本人はコンピュータには精通した人物。むしろ、今までパソコンも使わずに業務を遂行してきた歴代の経団連会長に対して唖然としているに違いない。
今や、会社から個人まで仕事をする上で、コンピュータはなくてはならないもの。だが、実際の仕事の現場では経団連を「遅れている」とは笑えないスキルの格差に直面することも多いという。
ある出版社の編集者からは、こんな話も。
「データのやりとりに、宅ファイル便などのサービスは当たり前に使っているわけですが、誰もが当たり前に圧縮とか解凍ができるわけではありません。自分たちは業務上の経験で、たまたま知っているわけですが、使ったことのない人はやはり知らない。だから、膨大なデータを通常のメール添付で送ろうという人はざらにいますよ」
今や最先端では、メールは時代遅れ。チャットワークやSlackなどのサービスを利用するのが当たり前になっているというが、これもまた使える人、使えない人の格差が大きいもの。
「とりわけ、50代から上の世代には『なんでメールがあるのに、そんなものを』と、導入を拒否されることも多いのです。その人にだけ、別にメールで知らせなきゃいけなかったりするから余計に面倒ですね……」(同)
近年、何か共同で作業をしようとすれば、すぐにチャットワークかSlack。あるいは「LINEでグループをつくりましたよ!」から始まる時代。正直、あれもこれものアプリを入れたりが面倒この上ない。むしろ「あ、うちはパソコン使ってないんです。紙でよろしく!」と、やってた経団連のほうが、潔かったのか。
(文=ピーラー・ホラ)
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