イモト効果か? 号泣&土下座で応える阿部寛! 地味さを極めた『下町ロケット』第2話の数字は?
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■慶應大学を日本一へ導いた“体育会系演出”
第1話では「ギアゴースト」の副社長・島津役のイモトアヤコが、長台詞のシーンで感極まって涙をボロボロと流す様子が話題となりました。本来なら「佃製作所」が開発した新バルブを見ただけで泣き出すのは、過剰演技として撮り直すべきシーンでしょう。でも、TBSはあえてイモトがバルブを手に号泣するテイクを採用しました。視聴者だけでなく、他のキャストにも、バラエティー畑を主戦場とするイモトが今回の役にどれだけの情熱と集中力で臨んでいるのかを知らしめるためだと思います。演技はうまければいいってもんじゃありません。見た人の心を動かすことができるかどうかが肝心です。それにはキャリアの長い短いは関係ありません。一人ひとりのキャストとスタッフの力ががっちりと噛み合って、初めてロケットは宇宙へと舞い上がるのです。ここらへんの駆け引きは、かつて慶應大学ラグビー部の主力選手としてチームを日本一へと牽引した福澤克雄チーフディレクターならではの“体育会系”演出ではないでしょうか。
イモトアヤコが発した熱気が、早くも第2話で広がっていきます。いち早くその熱気に感染したのは主演の阿部寛です。15億円もの支払いを求められている「ギアゴースト」を救うべきかどうか。経理部長の殿村(立川談春)や技術部長の山崎(安田顕)が慎重論を唱えるのに対し、佃社長は「あの人たちにとってトランスミッションは、俺にとってのロケットみたいなものなんだ。あの人たちと一緒に仕事がしたいんだ」と泣きながら、土下座して「ギアゴースト」の救済を訴えるのでした。社員に対して社長が号泣&土下座するのは、明らかにやりすぎ演技ですが、プロの役者であり、『下町ロケット』の座長を務める阿部寛としては、初参加となるイモトの熱演にそれ以上の熱さで応えたかったようです。この熱さの連鎖反応を「イモト効果」と呼びたいと思います。
そのイモトアヤコが第2話では大活躍です。クロスライセンスの作業では、軽部が発案した投影機を使ってのチェック方法を「素晴しい発想です」と賞讃し、作業の効率化を図ります。天才エンジニアである島津に褒められて、ひねくれ者の軽部もうれしそうです。天才ゆえに「帝国重工」からドロップアウトしてしまった島津と、変人キャラの軽部は意外とウマが合いそうです。
さらに島津が紹介した会社で扱っていた新素材を活用することで、難航していたロケット用新バルブの耐久実験も成功します。クロスライセンスの件は、結果としては無駄骨で終わってしまうのですが、島津のエンジニアとしての知識と情熱は、「佃製作所」に新しい活気をもたらしたのでした。
■部品分解だけでドラマを成立させた力技
イモト効果に刺激を受けたのは、阿部寛だけではありませんでした。娘・利菜役の土屋太鳳もさっそく感染します。「帝国重工」に入社したものの、佃社長の娘ということで上司からプレッシャーを浴びせられてきた利菜でした。「佃製作所」がようやくロケット用新バルブを完成させたことでホッと安心した利菜は、離れて暮らす母親の沙耶(真矢ミキ)から会社と父との板挟みになる大変さをねぎらわれ、目を真っ赤にするのでした。涙もろくてバカ正直なところは、佃航平も利菜も父子だけにそっくりです。
前回に続いて25分拡大となった第2話の視聴率は、12.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。第1話の13.9%から1.5%ものダウンです。「佃製作所」のライバルとなる「ダイダロス」の重田社長(古舘伊知郎)に続いて、『全日本プロレス中継』(日本テレビ系)の実況アナだった“ジャストミート”福澤朗が「帝国重工」の次期社長候補・的場(神田正輝)のタイコ持ち的な製造部長・奥沢役で顔を見せていましたが、前シリーズで高島彩が記者役に抜擢されていたのに比べるとかなり地味な印象は拭えません。でも、トランスミッションを分解して、パーツをひとつひとつチェックするという、まるで絵にならないシーンだけで1時間半をもたせたキャスト陣の熱量はハンパありません。
演技キャリアのあまりないイモトアヤコら他ジャンルからの起用が目立つ『下町ロケット』ですが、物語の鍵を握るのは「ギアゴースト」伊丹社長役の尾上菊之助や同社の顧問弁護士・末長役の中村梅雀ら日本の伝統芸能である歌舞伎界の役者たちになりそうです。佃社長にとって、彼らは敵になるのでしょうか、味方になるのでしょうか。阿部寛の演技はどこまで熱くなっていくのか、気になるところです。
(文=長野辰次)
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