『ナカイの窓』「芸能人番付」企画にガッカリ? お互いのスキルを褒め合う芸能人たちの下心
#バラエティ
■インサイダーが決定する女性芸能人トップ3
昨今、番組内でタレントが他のタレントを評価し、そのくだりがプロモーションと化すケースは多い。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の恒例企画「芸人ドラフト会議」は、その最たるものだ。同業者の力量を褒め、ひそかに業界内の評判と需要を上げてあげる。ここに、互助会のごとき機能がある。
視聴者の評価とインサイダーの評価には、若干の温度差がある。この手の企画は、言うまでもなくインサイダーの意見のみフィーチャーしたもの。正直、「芸人ドラフト会議」を見ていると、共感できない瞬間がないではない。もし、プレイヤー側の声ばかり重視されるならば、世間の思いとテレビの現状は必ずしも合致しなくなる。
10月10日放送『ナカイの窓』(日本テレビ系)が行ったのは、「番付の窓」。さまざまなテーマを元に番組オリジナルのベスト&ワースト3を決めるという新企画だが、本稿で触れたいのは「バラエティ番組にいると助かる女性芸能人」というテーマについてである。
芸人の力量については、視聴者の側も自分なりに判断を下すことができる。面白いことを言うか、言わないか。スベるか、スベらないか、もしくは“スベり笑い”として面白いか。はたまた、見ていて不快か否か。ジャッジを下す対象として、芸人はわかりやすく明瞭な存在だ。
ただ、「女性芸能人」というくくりになると、プレイヤーの意見こそ大正義になりがちだ。邪魔にならないか? 空気を壊さないか? 頑張るのか? バラエティをわかってるか? それらについて評論したがる視聴者もいるはいるものの、テレビを見る分には正直大した問題ではない。議論のための議論というか。
プレイヤーたちは、今回も企画にのっとって己の持論を発信した。バカリズムは「強めにイジッても受け身をとってくれる」という理由で野呂佳代を、陣内智則は「困った時に振れば“背負い投げ~”って終われる」とIKKOを、タカアンドトシのトシは「極貧時代の幼少期やパリコレの話が出てくる」とアンミカを、指原莉乃は「どんな話題も得意」と井森美幸を、中居正広は「笑い声がすごく好き」という理由でSHELLYをそれぞれレコメンドした。結果、番組オリジナルランキングのトップ3は「1位:SHELLY、2位:井森美幸、3位:菊地亜美」に決定している。
普段表に出ないインサイダーの意見を見聞きするのは貴重な機会であり、興味深くて楽しい。しかし、もう全然貴重じゃない。SHELLYが買われているのは周知のことだし、井森の偉大さも我々は知っている。プレイヤーが長い月日をかけ、画面の向こう側から啓蒙し続けた結果だ。
この手の企画も、次第に意味合いが変わってきた。もはや、タレント同士のキャッチボールになった感がある。こうしたやりとりでテレビ界の座席が埋められていくのなら、マッチポンプでしかない。インサイダーがお互いのスキルを褒め、論じ合う類いの企画は、そろそろ食傷気味になってきたのだ。
(文=寺西ジャジューカ)
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