人生の折り返し点に立った男女が織りなす物語が始まる――佐々木蔵之介主演『黄昏流星群』第1話
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私が会社に入った頃、世の中はバブルの時期だった。社会全体が熱気に包まれたように浮かれていて、正直その流れにどこか乗り切れない気持ちもあった。
11日スタートしたドラマ『黄昏流星群』(フジテレビ系、初回平均視聴率7.3%/ビデオリサーチ調べ・関東地区)。主人公・瀧沢完治(佐々木蔵之介)は、私と同世代。「人生の折り返し点」に立っている年代だ。
ドラマでは、今まで輝かしい未来に向かって進んできた登場人物たちが、体力や気力の衰えとともに、どこか「残りの人生をどう過ごすか」というような思いにかられるようになっていく。それは、私も実感として感じる。ただ、その衰えに身を任せるか、それともその中で何かを成し遂げようともがき続けるのか、そこは個人差があるように思う。
若葉銀行のエリート行員である完治は、新宿支店長として実績も出し、順風満帆な人生を歩んでいた。彼にとっては、このままエリートの道を歩み続け、本店の幹部になるというのが、残りの人生で達成すべき目標であった。秘書である篠田(本仮屋ユイカ)からも慕われ、懇意にしている専務・守口(春海四方)からも可愛がられて、本社への栄転も近いと思われていた。
プライベートでは、妻の真璃子(中山美穂)、娘の美咲(石川恋)との3人暮らし。家族との関係も良好で、こちらも安泰といったところだ。
ちなみに、妻役の中山美穂がデビューしたのは、私が高校生の頃だった。ドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系)で見せた、大人びた女の子役は、実に刺激的で、強烈な印象を残した。世の男性たちの憧れの的だったアイドル“ミポリン”が、年頃の娘を持つ母親を演じるようになるとは、なんとも感慨深いものがある。テレビの前で、同じような思いを抱いている男性方は多いのではないだろうか。
そんな彼女が演じる真璃子は、娘と仲良しで、恋人同然に過ごしていたが、ある日、美咲から結婚の話を聞き動揺する。彼女もまたここで、自分が人生の折り返し点に来たことを認識するのだ。今まで、娘を育て、娘と良好な関係を築くことが生きがいであったのが、彼女が自立するとなった時、残された人生の目標と向き合わざるを得なくなったのだろう。
その頃、完治は銀行で「セカンドキャリア研修」を受講する。これは、出世競争に破れ、他社に出向する人への心構えをさせる意味合いを持ち、「黄昏研修」とも呼ばれているものだ。そこで、完治は同期の横尾(増田英彦)と久しぶりに会う。他社への出向が決まっている横尾は、完治の励ましにも、「所詮他人事だろ」とつれない。
実は、私がどちらの気持ちがわかるかといえば、横尾の方だ。残念ながら私は、出世競争には乗り切れなかった。次々と管理職になっていく同期を見ながら、自分はサラリーマンに向いていないことを痛感したものだ。
研修を終えた完治は、本店の頭取に呼び出される。いよいよ本店幹部への昇進かと意気込んだ完治に告げられたのは、荻野倉庫という会社への出向の打診だった。突然ふりかかった事実上の左遷。実は、完治の後ろ盾であった守口がパワハラで訴えられていたのだ。
今まで積み上げてきたものが全て崩れ落ちたような気持ちになった完治は取り乱す。酒場で暴れ、傷ついた完治が思い立ったのは、スイスに行くことだった。翌日、彼はマッターホルンに向けて旅立つ。
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