『リーガルV』米倉涼子、“木村拓哉化”で着せ替え役者の仲間入り 『ドクターX』の魔力に抗えず
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さて感想。主演・米倉涼子×テレビ朝日の木曜21時枠×企画にオスカープロモーションの古賀誠一氏が参戦ということで、制作が発表された時は、大ヒットシリーズ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(同)の設定そのままに舞台を法廷に移し替えただけなのだろうな、と予想しました。
ところが、大門がフリーランスのスーパー外科医という設定だったのに対し、今回の小鳥遊は弁護士資格を剥奪されたため法廷では何もできず、代わりに部下たちを駒として使う、ということが発表されると、『ドクターX』とはまったく異なる路線になるのではないか、米倉の新たな代表作になるのではないかと期待が高まりました。
しかし結論からいってしまえば、『ドクターX』のデジャブ感が強く感じられ、米倉は大門にしか見えませんでした。というよりも、“他人に媚びない勝ち気な米倉涼子”に別の役を着せ替えただけ。木村拓哉がどの役に挑んでも同じに見えてしまうのと一緒です。
わざわざ珍しい苗字・小鳥遊(たかなし、と読む)にしたり、鉄道マニアだったり高級ブランド好きだったりと、キャラ付けに必死になればなるほど、見てるこちらとしては逆に大門の存在を意識させられてしまうんですよね。
しかも、せっかく米倉を大門のイメージから引き離そうとしているのに、脇役たちが『ドクターX』とまったく同じ記号にされちゃってるんですよ。恩師の京極について事務所入りしたヤメ検弁護士・大鷹高志役の勝村政信は、『ドクターX』で大門にいつも噛みつく加地秀樹そのままの役どころ。君島化学へ損害賠償を請求しに行った時の京極は、大門の高額な手術料を取り立てに行く時の神原晶(岸部一徳)を高橋が演じているだけにしか見えませんでした。
『ドクターX』から離れようとしたものの大ヒット作の魔力には抗えず、制作陣が無意識に引き寄せられてしまった、という感が否めません。そしてその結果、凡作になってしまったようです。
ネット上では、米倉が大門のイメージを払拭するために『ドクターX』の続編を拒否しただとか、今年5月に「女性セブン」(小学館)によって脳神経外科に緊急入院したことが報じられた岸部一徳の出演見送りで別ドラマになっただとかさまざまなウワサがありますが、それならばコンセプトもキャラもまったく異なる作品が見たかったな、というのが率直な意見です。ただ、まだ初回なので、次回から方向転換があることを期待しつつ放送を待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)
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