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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 真野恵里菜が成功したワケ
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

正統派アイドルから大人の女優へ――真野恵里菜”ハロプロ出身なのに”成功したワケ

真野恵里菜

 アイドルが、卒業後に女優になるというのは、ひとつの夢だろう。しかし、誰もが成功するとは限らない。

 知名度が高いため、主演級の役でスタートを切ることができても、それも最初の数年だけ。求められる役も、アイドル時代のイメージの延長にあるようなピュアな美少女役ばかりで、そこから次の段階にステップアップするのは難しく、多くのアイドル出身女優が消えていく。

 それでも、AKB48グループは人数が多いこともあって、前田敦子、大島優子、川栄李奈といった人気女優を多数輩出している。対して、モーニング娘。を筆頭とするハロー!プロジェクトは何人か主演級の女優が登場したものの、長くは続かない。

 これは同じ大規模なアイドルグループでも、資質が違うからだ。AKBグループに求められるのは、すぐ隣にいて、話すことができる生々しさと親近感である。水着写真集も過激なものが多く、だからこそ、濡れ場にも躊躇がない。

 今はだいぶ落ち着いているものの、総選挙において彼女たちが感情をあらわにする場面を見ていると、この極限状態が演技の引き出しとなっているのがよくわかる。対してハロプロはダンスや歌といったライブパフォーマンスこそ圧倒的だが、良くも悪くも箱庭の中の美しい世界で完結している、文字通りの浮世離れしたアイドルだ。そのため、軽いコメディにはハマるのだが、生々しい感情や欲望を見せる女性を演じることができない。それが女優としての生き残り戦略において、決定的な差となっている。

 そんな中、例外的にハロプロ出身の女優として活躍しているのが真野恵里菜である。

 真野は2006年、ハロプロの研修生となり、その後、ソロアイドルとしてデビュー。幼少期からピアノを習っていて弾き語りも行うという歌唱スタイルは、文字通り清純派美少女そのものだった。

 アイドルとして活躍する傍ら、女優業も並行して行っていたが、大きな転機となったのは10年のドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系)だ。

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