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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ベビレの終わらない物語~ライブレポ
“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.17

6年間の活動に幕! ベイビーレイズJAPANの終わらない物語~伝説の最高雷舞レポート~

 そこそこのファンであれば皆気づいたはず。そう、大矢扮する「体操のお姉さん」が登場する曲、「世界はチャチャチャ!」だ。会場後方に設置されたサブステージに移動し、サザエさんのエンディングのようなダンスを見せる。最後には、「実は私、大矢梨華子でしたー!」というネタばらしもあり、「いや、みんな知ってるがな!」という突っ込みで笑いが起きる。

 メインステージに戻って、しっとりと「ベイビーステップ」、そして名曲「スーパーノヴァ」。「スーパーノヴァ」とは、超新星、つまり、星が寿命を終えて最後に爆発する様のことである。

――ほら ここで僕の声を 暮れる夕日に叫んでみるよ

 そんな歌詞が、彼女たちの今を表しているようにも思えて、寂しさがよぎる。

 その後、MCで、メンバーそれぞれが思うベストライブを発表する。高見は、16年10月に行われた、彼女らの主催フェス『エモフェス』の最後、傳谷は、昨年末の新木場STUDIO COAST でのライブ、渡邊は、武道館に向けた署名の結果を発表した東京キネマ倶楽部、林は、初お披露目となった『アイドル横丁夏まつり!!2012』、大矢は、13年8月の2ndワンマンを挙げた。

 見ているファンも、それぞれのライブを思い出したところで、前半部分のクライマックスへ。代表曲のひとつである「暦の上ではディセンバー」を皮切りに、「JUMP」「ベイビーアンビシャス!」などが続き、「ハッピーエンドレス」で前半を終了。

テレビ東京で放送されていたバラエティ番組『浅草ベビ9』の横断幕

 ハーフタイムには、モニターで「ジャパンカップ」と題されたメンバーの対決企画が流れる。「スリッパ投げ」「だるまさんがころんだ」「早口言葉」など、メンバーの個性が出るやりとりが連発。初期の頃には、よくこんなことをやっていたなぁと懐かしくなる。

 そしていよいよ後半戦のスタート。後半はバンドも入った演奏になる。ステージに登場したメンバーは「夜明けBrand New Days」のアカペラを披露。そのまま「栄光サンライズ」「走れ、走れ」などのシングル曲を歌う。一時雨がぱらついてきたのだが、ステージの演奏に押されるように上がっていった。

 続いて「新しい世界」を歌うと、大きな旗を持って、メンバーがサブステージに移動、そこで「虎虎タイガー!」などを歌う。ひとしきり盛り上がったところで、メインステージに戻り、「何度でも」「Dreamer」と続いて、メンバーは一度下がる。

 バンドメンバー紹介の後、「ビッグ☆スター!」で再び登場。しっとりと「アバタがエクボ」を歌った後は、「TIGER SOUL」。

 MCで、関係者、ファンへのお礼の言葉を述べると、怒涛のフィナーレへと突入。「ベイビーレボリューション」「シンデレラじゃいられない」などが続き、いよいよ、「夜明けBrand New Days」。手拍子をし、コールをし、その瞬間が近づいてくる。

――今だからわかること 今しか見えないもの 全部だきしめてまた続く 終わらない物語

 いろいろなことがあったが、彼女らの歌うこの曲でコールするのも最後なのだろう。そんなことを思いながら、渾身の力を込めて「イエッタイガー!」と叫んでいた。

 続く、「僕らはここにいる」で本編終了。

 もちろん、すぐにアンコールの声が上がる。再度登場し「スパイラル」を歌う。その頃には、雲が切れ、ステージの後ろには大きな富士山が見えていた。その大きな頂を前に、一人ずつファンへメッセージ。

「幸せとは言えない時期もあった。でも、今ここに立てて幸せ」と傳谷。「悔しくないといえば嘘になる。でも後悔はしていない」と話したのは高見。大矢は「私をアイドルにしてくれてありがとう」とコメント。渡邊は、「ベビレの曲は皆さんへの応援歌が多いけど、私たちの未来への応援歌にも聴こえた」と語る。そして、最後に林は「最後までセンターでいさせてくれてありがとう」と述べた。

「みんなが笑顔でいられるように」、そんな思いを込めて「SMILE」を披露。その後は、会場の皆と記念撮影。曲の通り、みんなの笑顔が溢れていた。

 そして、メンバーがステージから去るが、まだアンコールは終わらない。再び登場し、デビュー曲の「ベイビーレイズ」を歌う。曲フリは渡邊璃生。そう、この曲フリをメンバー皆で考えて、誰が一番いいかを決めたんだった。確か、その瞬間にも立ち会っていた記憶がある。懐かしい。

「ベイビーレイズ」で盛り上がった後、メンバーがステージの後ろに帰っていく。スクリーンには、新しく作られた「夜明けBrand New Days」のMV。それが終わった時、ステージの後ろから打ち上げ花火が何発も上がった。それは、奇跡の最後を飾るには、あまりにも美しすぎて、しばし見とれた。

 6年間にわたるたくさんの奇跡。その全てが完結してしまったのだ。

ファンから贈られたフラワースタンド

 傳谷英里香は、成り行きでベビレになった。

 最初は、アイドルになりたくない、アイドルに興味はないと言っていた彼女は、「やるならとことん」の精神でリーダーになり、萌えゼリフなどの武器を身につけ、人気者になった。人生どこでどうなるかわからない。それでも、与えられたチャンスなら全力で取り組む、そんな姿勢を教わった。

 林愛夏は、真面目なボーカリストだった。

 性格的には、華やかなセンターは向いていなかったかもしれない。それでも、持ち前の歌唱力と歌と向き合うひたむきな姿勢は、多くのファンに支持をされた。夢はミュージカル女優と話す彼女には、これからもずっと歌い続けてほしいと思っている。

 高見奈央は、誰よりも女の子らしさを持っていたと思う。

 ボーイッシュなルックスと、キャラ付けもあって、女の子ファンも多いが、実は誰よりも細やかな気遣いができて、繊細な心を持っているのは彼女だったと思う。解散後、舞台への出演が決まっているが、女優として、タレントとして花開いてほしいと願っている。

 大矢梨華子は奔放さが魅力だ。

 MCを任されることが多く、喋りの面でベビレを支えてきた彼女だが、そこには、人知れぬ努力があったことと思う。オシャレにも人一倍敏感で、「カワイイ」を突き詰めている彼女には、これからもずっと、カワイイままで年を重ねていってほしい。

 渡邊璃生は、誰よりもベビレを愛していたんじゃないかと思う。

 周囲から「不思議ちゃん」と言われる彼女は、どこか、居場所のなさを感じさせた。そんな彼女が見つけたのがベビレだったのではないか。「この中の誰か一人が違っていても、ベビレを続けることはできなかっただろう」。そう言う彼女は、また、どこかに安らげる場所を見つけてもらいたい。

 今まで関わった運営や、スタッフや、楽曲を制作したミュージシャンたち。彼らがどんな考えで、ベビレを作ってきたかは想像するしかない。しかし、ライブでの曲に魂を吹き込み、血を通わせたのは、まちがいなく、ベイビーレイズJAPANの5人のメンバーであり、彼女たちを支持するファンの人たちだ。

 そして何より、6年間ただの一人もメンバーを変えずに一線を走れたのは、奇跡に近いと思う。

 今どきは、涙を見せない、クールなお別れというのが流行りなのかもしれないけれど、ラストライブでは、メンバーも、ファンも、みんな泣いていた。そりゃあ泣くよな。だって一生懸命だったもん。

 泥臭くて、人間臭くて、無我夢中だった6年間。最後の瞬間まで、みんなカッコよかったよ。

(文=プレヤード)

最終更新:2018/12/18 16:05
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