岡山ネタだけで300巻超え! 驚愕のシリーズ本『岡山文庫』を知っているか?
#雑誌 #出版 #昼間たかしの「100人にしかわからない本千冊」
ライター稼業を何年もやってるのだが、売れている実感というのはあまりなく。ところが、今年出版した『これでいいのか岡山県』(マイクロマガジン社)は、まさかの重版。
以前出したものに追加取材をして加筆修正をしたもの。正直「焼き直しだし、そんなに売れないかな」と思ったのだが、せっかくだからと全ページ改稿しまくったら、別の本になったのが功を奏した様子。
というわけで、みんな大好き「大都会岡山」ネタを前後編で。
取り上げたいのは「岡山文庫」である。
実は筆者、長いこと「全国どこでも、こういうシリーズは存在するのだ」と思っていた。岡山では学校図書館にも揃えられているほどメジャーな本だから。
この岡山文庫というのは、岡山市内にある日本文教出版が1964年から始めた文庫シリーズ。現在まで毎年、2冊×3回のペースで発行されているものだ。
「岡山文庫」のタイトルが示す通り、扱っているのは岡山県内のさまざまなネタ。すでに既刊は310巻。よくもネタ切れにならないなと思うのだが、これでもかとネタは出てくる。
記念すべき第1巻は『岡山の植物』。以降『岡山の祭と踊』『岡山の焼物』というタイトルが続く。中には『吉備の女性』『蒜山高原』など例外はあるものの、だいたいが「岡山の○○」というタイトルになっている。
いくらネタの宝庫の岡山とはいえ、そんなに書くことがあるのかと思うだろう。
それがあるのである。中には『岡山の宗教』とか『岡山の方言』とお堅い本かな? と思わせるラインナップが多い。
でも、その中にキラリと光るものがある。『岡山の海藻』『岡山の映画』『岡山の石』『岡山の門』などなど。『岡山のイコン』とか『岡山の木造校舎』なんて、よくもまあ丸々一冊を書くほどのネタをまとめたなというもの。
近年のラインナップでは、さすがに「岡山の○○」というタイトルは苦しくなったのか、さまざまな工夫を凝らしたタイトルが使われている。それでも『岡山の山野草と野生ラン』という、岡山限定で? とタイトルで驚く本も登場する。
おかげさまで『これでいいのか岡山県』を書いた時に「よくもまあ、その年齢で、そんな過去の背景まで調べていますね」と、珍しく称讃のコメントもいくつか頂いている。当たり前である、この「岡山文庫」をはじめとして、先人が残した文字資料というのが、岡山にはやたらと多いのだ。
ほかの地域だと、人のウワサだけで終わってしまいそうな地域限定の社会問題でも、ちゃんと地元出版社から本になっていたりすることもある。
なんで、岡山の人は、こんなにも自分の興味を文字に起こして残そうと思ったのか。
その考察は次回へ。
(文=昼間たかし)
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