JOJOの新しい冒険は日本版ニンフォマニアック!? SM大河『私の奴隷になりなさい第2章 第3章』
#映画 #パンドラ映画館
もうひとつ、JOJOマジックには懐メロや童謡の効果的な使用がある。誰もが聞きなじみのあるメロディをJOJO作品のキャラクターが口ずさむことで、観客はスクリーンの中のキャラクターの心情に自然と感情移入することになる。『ご主人様と呼ばせてください』では、カラオケボックスでピンク・レディーのヒット曲「渚のシンドバッド」のメロディに乗り、目黒が明乃のお尻をスパンキングするというユーモラスなシーンが描かれている。初めての奴隷を手に入れた目黒の浮かれ具合がよく伝わってくる。
城定「これまで官能映画を撮り続けてきた僕のキャリアを評価してくれてのKADOKAWA さんからの監督オファーだったので、その期待には応えたいとは思っていました。ピンク映画には手づくり的な良さがあるんですが、今回はピンク映画とは違ったことが出来るかなという思いもありました。予算もスタッフも最小限度でやりくりしているピンク映画では、著作権のある曲はまず使えない(苦笑)。『ご主人様』は原作にも脚本にもカラオケボックスのシーンがあったので、せっかくなら曲を流したいなと思い、『渚のシンドバッド』をリクエストしたところOKが出て、うれしかったですね。ラッシュを観たプロデューサーが気に入り、『ご主人様』の主題歌にも使われています。ピンク映画だとカメラは固定か手持ちかの二択しかないんですが、今回は移動車やドリーなども使うことができて楽しかった。予算の規模に関係なく、オファーがきた仕事は積極的に引き受けるつもりですが、このくらいの規模でオリジナル作品も撮れると面白いでしょうね」
女を支配しているつもりの目黒だったが、女はやがて目黒の想像以上に美しく成長を遂げていく。第3章『おまえ次第』では、主従関係のバランスが大きく破綻することになる。
城定「男が女とエッチした後、男が『喰った』なんてよく自慢げに話すけど、見方を変えれば実は女のほうが男を『喰った』のかもしれない。いずれにしろ結婚すれば、ほとんどの男は女に支配されるわけです。僕の周りもそう。独身の頃いくらブイブイ言わせていても、結婚した男は女の尻にみんな敷かれています(笑)。少し視野を変えると、人間関係は違った見方ができるもの。映画の中では男女の主従関係を描いていますが、人間と人間が2人以上いれば人づきあいでも仕事でも、何かしらの関係性が生じますし、その関係性を主従関係に置き換えることもできる。単体でも楽しめるように作ったつもりですが、『ご主人様と呼ばせてください』『おまえ次第』をセットで見ると、より関係性の変化が楽しめると思います」
SMの世界を題材にした官能二部作だが、城定監督作品らしく生きている人間の刹那的な喜びとおかしみが肌と肌との隙き間から漂ってくる。JOJOマニアはこう思う。稀代の映画職人・城定監督は、もしかしたら“映画の神様”と主従関係を結んでいるのかもしれないと。
(文=長野辰次)
『私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください』
原作/サタミシュウ 脚本/石川均、城定秀夫 監督/城定秀夫 主題歌/ボンジュール鈴木「渚のシンドバッド」
出演/毎熊克哉、行平あい佳、百合沙、三浦誠己
配給/KADOKAWA R18+ 9月29日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
『私の奴隷になりなさい第3章 おまえ次第』
原作/サタミシュウ 脚本/石川均、城定秀夫 監督/城定秀夫 主題歌/ボンジュール鈴木「プピプピドゥ」
出演/毎熊克哉、杉山未央、百合沙、行平あい佳、池田良、石田佳央、原田裕章、川合瑞恵、範田紗々、山根千芽、福山理子、榊英雄
配給/KADOKAWA R18+ 10月13日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
c) KADOKAWA 2018
http://www.watadore.jp/
※城定監督のオリジナル新作『恋の豚』は、R15版がシネリーブル梅田で10月13日(土)~26日(金)に開催される「OP PICTURES+フェス2018」にて上映。またR18版は上野オークラ劇場、横浜光音座にて10月5日(金)~11日(木)公開。
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