伝説の一大わんこスペクタクル『銀牙』シリーズをひもとく!
#本 #マンガ #ザオリク的マンガ読み
『銀牙 -流れ星 銀-』。「週刊少年ジャンプ」(集英社)の黄金期を支え、アニメにもなった、日本で最も有名な犬マンガです。もしかしたら、動物マンガというくくりでも頂点といえるかもしれません。なにしろ、出てくるわんちゃんは数千から数万匹単位ですから、『101匹わんちゃん』なんて比にならないレベルです。
しかし、名前は知っているけど読んだことがない、とっつきにくいという人が結構いるのもまた事実。今回は「このマンガのわんちゃん、かわいいというより怖い」「俺、別に犬好きじゃないし。むしろ猫派だし……」などと二の足を踏んでいる人のために、『銀牙 -流れ星 銀-』とそのシリーズをご紹介します。
本作の著者は、高橋よしひろ先生。1983~87年まで連載され、ジャンプ黄金期の一翼を担いました。動物のバトルマンガとしては異例の長期連載で、黄金期のジャンプ作品らしく「友情」「努力」「勝利」がしっかりと組み込まれている作品でもあります。もちろん、本作品の場合は「(犬同士の)友情」「(犬自身の)努力」「(熊からの)勝利」ですが……。
『銀牙』シリーズは続編やスピンオフ作品などが大量に出ており、初心者が読み始めようにも一体どこから手をつけていいかわからないほどの状態になっていますが、シリーズ全体で一貫する設定は、最強最悪の熊・赤カブトを倒して奥羽山脈の二子峠に犬の楽園を築いた熊犬「銀」を中心に、その一族や仲間たちを描く物語で、そこに熊や狼や人間、時には自然災害などが絡み合って一大わんこスペクタクルを生み出しているのです。
■『銀牙 -流れ星 銀-』
シリーズの原点となる本作は、どうしても押さえておきたい作品です。単行本にして18巻という程よい長さですし、これさえ読んでおけば、シリーズのほかの作品はどこから読んでもそれなりに楽しめます。
本作は前半の「赤カブト編」と後半の「八犬士編」の2つに大きく分かれており、作品のテイストもかなり違います。
【赤カブト編】
優れた頭脳を持ち、配下の熊を集めて二子峠に熊の牙城を作る、最凶の人喰い巨熊・赤カブトを倒すため、銀の父親リキが総大将となり、赤カブト軍と闘う物語。そして、その闘いの中で、銀は次世代のリーダーとして成長していきます。『ガンバの冒険』のラスボスはノロイ、『銀牙』のラスボスは赤カブト。動物バトルものの基礎知識ですので、覚えておきましょう。
初期は銀の飼い主・熱血少年の大輔が赤カブトを倒すべく、トレーニングしたり、ボウガンの練習をしたりするストーリーで、人間と犬が協力し合って熊を倒す話のように思わされますが、4巻ぐらいからイマイチ使えない大輔に見切りをつけた銀が、父親であり奥羽の総大将でもあるリキの部下・ベンたちと共に、全国へ「男」と呼ばれる勇者(犬)たちを探す旅に出てしまいます。この辺から、ほぼ犬と熊しか出てこないマンガとなります。
甲斐の魔犬、伊賀の忍犬、土佐の闘犬などなど、『ドラクエ』のごとく全国の「男」(犬)を探し、時には闘って友情を深め、仲間にしていくジャンプ的なストーリー展開と、わんちゃんたちが奥羽の戦士として自分たちの数十倍もの体格を持つ凶暴な熊に立ち向かっていくというカタルシスこそが、このシリーズの根底にある面白さです。
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