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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『チアダン』最終話、納得の結末

描いた夢はひとつじゃない――納得の結末を迎えたドラマ『チア☆ダン』最終話

 いよいよ本番。先に演技するJETSを見て、わかばは10年前、大会で優勝したJETSをテレビで見た日のことを思い出す。そして、あの日と同じことを思うのだ。

「キラキラしている」

 出番前の円陣で、わかばは言う。「もう打倒JETSではない、今まで支えてくれた人たちに『ありがとう』って伝えたい」。その気持ちを抱いて、ROCKETSは、大きなステージに飛び出していく。

 ROCKETSにとってのJETSの存在、それは何だったのだろう。「すごく遠くに見えたけど、今は遠くない。目の前まできたんだ」。大会を前に、汐里がそう口にする。ROCKETSにとっては、夢の灯台のようなものだったのではないか。灯りを求めて航海をし、ようやくたどり着いた場所。「ありがとう」は、そのことに対しての、感謝の気持ちなのだろう。

 そして、クライマックスであるダンスシーンが始まる。

 これまで練習を積んできた彼女たちの姿は見ごたえがあった。演じた女優たちも頑張ってきたということを実感する。ドラマの中で、ROCKETSのメンバーが頑張ってきたように、土屋太鳳も、石井杏奈も、この役に魂を吹き込むために頑張ってきたのだ。ファンから応援される立場の彼女たちが、私たちを応援しようとして、役に打ち込んだ結果だろう。

 演技は無事に終わり、いよいよ結果発表。ROCKETSの順位は……2位!

 これまでの状況を考えれば、十分な結果であろう。しかし、1位となったJETSを超えることはできなかった。全米制覇という夢も、ここで潰えたことになる。

 涙にくれるメンバーたちに、顧問の漆戸(オダギリジョー)は言う。「でも、みんなキラキラしてた」。それを聞いてわかばは気づく。「夢がかなったかもしれない」。わかばは、子供の頃、全米制覇したJETSを見て「キラキラしている」と思ったのだ。あんな風になりたい、そう思ったのだ。その夢は、はからずも実現したのである。

 最後、漆戸が声をかける。

「そうやってずっとずっと笑っていて欲しい。君たちは僕の奇跡だ」

 ドラマなんて、作り手の考え次第でどうにでもなる。ROCKETSが優勝して終わるというパターンもあっただろう。でも、私には、この終わり方がとても気持ちよかった。

 確かに、彼女たちは「全米制覇」という夢には届かなかったかもしれない。でも、誰しも、描いた夢はひとつじゃないはずだ。もし今、夢が叶わずにいることに落ち込んでいる人がいるとしたら、思い出してみてほしい。子供の頃、大人になってから、何か「こんな風になりたい」と思ったことはないだろうか。夢なんて、たくさん持ったもの勝ちなのだ。もしかしたら、叶う・叶わないは別にして、夢は多いほうが楽しいのかもしれない。

 ドラマの放送では3カ月、ストーリー上では1年と少し、彼女たちはみんな、とてもいい顔になった。それは、自信でもあり、自分にできることをやりきったという満足感でもあったろう。爽やかな感動を残しつつ、今年もまた夏が終わっていくのだ。

(文=プレヤード)

最終更新:2018/09/20 19:30
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