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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『ケンカツ』強引なハッピーエンド

『健康で文化的な最低限度の生活』最終話は強引なハッピーエンド 最後まで何を主張したいのかわからず……

 さて感想。前回のラスト、梓が鬼気迫る表情で区役所に乗り込み、対峙したえみるも一歩も引かない様子を見せた時には、次回は盛り上がるのでは? と期待したのですが、見事に肩透かしをくらってしまいました。

 梓は4年間も育児放置をし、久しぶりに帰って来たかと思えば、自分だけでなく母・幸子(小野和子)の分の生活保護費もごっそり受け取れるよう申請してからまた失踪。これは、幸子とハルカを見殺しにしたに等しい行為です。

 さらに、自分自身も母親に育児放棄された過去がある。問題の根は相当に深いですよ。それなのに、ケースワーカー2年目のえみるがチョロッと涙を流して説得しただけで、考えを改めますかね。そんな単純な精神構造であれば、4年間も娘をほったらかしにはしないと思います。

 それと、阿久沢と麻里の件に関しても、最後はあっさり解決してましたけど、梓の件も含めて、強引にまとめあげた感が否めませんでした。食材を適当にフライパンにぶちまけてみたものの、調理法がわからず生焼けのまんま差し出された感じです。優先順位を決めかねたんですかね? 結局、どちらの問題も中途半端に終わってしまい、視聴者に何を訴えようとしたのかわからずじまいでした。

 そういう観点でいえばこのドラマ、最初から最後まで何を主張したいのかイマイチよくわかりませんでした。ニュースで何かと話題にあがる『生活保護』がテーマのため、不正受給を弾劾する内容なのかと予想しましたが、必ずしもそうではなかった。

 かといって、公式サイトに記載されている『22歳の新人が、壁にぶつかり、喜び、悲しみ、時には怒り…そしていつしか、誰かの希望の光になっていく』という成長物語が描けていたかといえば、首を傾げてしまう部分があります。確かに、梓に対する毅然とした態度をとった時のえみるには、これまでとは違う強さを感じました。しかし、これはハッピーエンドへ導くため、急ごしらえで強引に成長させたように思えてなりませんでした。

 というわけで、低視聴率も仕方なしの内容、というのが全話を通じての感想です。少し遅めのテンポや世界観はNHKや昼ドラ向きだったのでは、とも感じました。ではまた。
(文=大羽鴨乃)

最終更新:2018/09/19 20:00
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