凶暴な野犬同士の共食いも……楽園だったはずの「ピースワンコ」で獣医が見た“地獄絵図”
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
しかし、文春のインタビューの後、事件から4日後に義母は自殺未遂をして病院に搬送されてしまうのである。女性セブンによると「吉澤さんが育児に悩んでいることを知らなかった義母は“なぜ助けられなかったのか”と思いつめてしまったそうです」(吉澤の知人)。
深酒の代償は取り返しのつかないほど大きかったようだ。
9月14日の朝のワイドショーは、フライデーが入手したドライブレコーダー(デジタル版では動画を公開)に映っていた、吉澤ひとみの「ひき逃げの瞬間」を流していた。
山手通り(環状六号線)を中野坂上から落合に向かって走ってきた吉澤のクルマが、東中野駅すぐ手前の横断歩道を赤信号なのに止まらず、駅へと歩き出した歩行者と自転車に乗った女性に激突した。
軽傷で済んだのが「奇跡」と思えるくらい激しく当たっている。すぐ先の信号で車は止まったが、信号が変わるとそのまま走り去ってしまった。これは悪質なひき逃げである。
激しい選挙戦になると、必ずといっていいほど怪文書まがいのものがばらまかれる。その多くは、かつての週刊誌の記事の焼き直しだったりと、ウワサの域を出ないものがほとんどだが。
9月30日に投開票される沖縄県知事選でも、先週、週刊文春が報じたように、2人の候補に隠し子がいるという情報が流れた。オール沖縄の玉城デニーはノーコメントだったが、自公推薦の佐喜眞淳は、フランス留学時代に事実婚をしていた女性との間に息子がいることを認めた。
佐喜眞陣営には一見不利に見えるが、男らしく認めたことで、大したマイナスにはならないだろう。
だが、今週の新潮のカラーグラビアを見て、これは玉城陣営には相当なダメージになると思った。怪文書ではない。沖縄宜野座村にあるハリウッドスターの豪邸のような写真である。屋敷の前には屋内プールがあり、目の前には白砂青松のプライベートビーチが広がる。
新潮によれば、敷地面積は5000平方メートル、建物は約140平方メートル、持主は玉城が所属する自由党党首の小沢一郎(76)だそうである。小沢がここを買ったのは2005年11月。当時はここは「原野」だったから、1平方メートル1万円。5,000万円をキャッシュで買って、その後工事が始まり、5年前に今のような豪邸ができた。その費用は7,000万円程だといわれているから、しめて1億2,000万円になる。
さすが「永田町の不動産屋」(新潮)といわれた小沢だけあるといいたいところだが、これを買った頃は、小泉政権下、「米軍との間で辺野古移設も盛り込んだ『在日米軍再編』の中間合意が行われた直後」(同)だった。基地ができれば周辺の土地も上がると考え、「投機目的で買ったインサイダー取引ではないか」と“痛い腹”を探られても致し方ないのではないか。
文春によれば、公明党が選挙のために学会員を5,000人送り込んでいるが、序盤戦は翁長の「弔い合戦」を前面に出している玉木側がリードしているという。辺野古移転反対を掲げる玉城の後には小沢がいる。その小沢は辺野古移転で一儲けを企んでいた。真偽の不確かな怪文書の類ではないだけに、玉城陣営にとっては手痛いマイナス点にならなければいいが。
さて、ニクソン大統領を引きずり下ろしたワシントン・ポストのボブ・ウッドワード記者が、トランプ大統領を批判した『Fear(恐怖)』を出版し、ベストセラーになっているそうだ。
彼は「トランプ大統領の理解力は小学5年生並み」だと書いているそうだが、驚いた。そうじゃないか、あの支離滅裂でその場限りのデタラメな政策を繰り出すトランプだから、理解力は小学校低学年ぐらいだと思っていたのに。
先週のニューズウイーク日本版によれば、ホワイトハウスの高官たちの行動の根底にあるのは、トランプが連邦政府やアメリカに大惨事をもたらす事態を食い止めるために、トランプの行動を制御するべきだという信念だと、ウッドワードは書いているという。
トランプにアサド暗殺を命じられたマティス国防長官は、部下に命令を無視するよう指示した。コーン経済担当補佐官(当時)も米韓自由貿易協定の破棄を阻止するために、この議題に関する大統領令をトランプの机から抜き取ったが、トランプは気が付かなかったそうだ。
トランプを罷免することはできる。副大統領と閣僚の過半数が「大統領が職務を遂行できない」と議会に申し立てを行えばいい。だが、今の上院はその機能を果たせない。それは「二大政党の1つ(共和党=筆者注)が、大統領の暴走に無関心を装っているからだ」(ニューズ)。要は日本とよく似た状況にあるということだ。
そんなトランプからも愛想を尽かされ、総裁選中なのにロシアへと逃げ出した安倍首相だったが、プーチン大統領から突然、日本に「年内の平和条約締結」を求めるといわれ、茫然自失の体である。
2島を返還してもらいたければ、先に平和条約を結べ。これまで安倍がいっていた、プーチンとの信頼関係とはいったい何だったのか。
トランプもプーチンもダメならと、今度は習近平にすがるそうだ。こんな人間を、これから3年もこの国のリーダーにしておいていいはずはない。
今週の第1位は、新潮のワンコの話である。
私は今もペットロスが治らない。18歳近くの老犬が亡くなって半年近くになるのに、毎日、出がけと、帰ってきたときに写真に呼びかけ、月命日には彼女の好きだったキャベツを供える。
外で、似た犬を見かけると後をついていくから、飼い主に嫌な顔をされる。だから、ワンコを殺処分させないという活動をやっているNPOがくれば、すぐになけなしのカネをはたいて寄付するだろう。
新潮でやっている「ピースワンコ・ジャパン」という組織は知っている。私が、東日本大震災の取材で4月に福島へ行った時、クルマの横にそう書いたワゴン車が来ていて、野良犬を見つけては、捕まえて乗せていた。
どこから来たのかと聞くと、広島からだというので、ずいぶん遠くから来たものだと感心した。
新潮によると、広島では、このNPOの活躍で、892日殺処分ゼロ(9月9日現在)が続いているという。
ここは里親探しにも奔走していて、都市部の愛犬家たちにふるさと納税で年間数億円の寄付をしてもらっているそうだ。
いいことずくめのようだが、新潮は、このNPOには表の顔と裏の顔があるというのである。今回、ここの悲惨な実態を告発しているのは、2017年6月~2018年1月まで、医療サポートに入っていた「れいこスペイクリニック」の竹中玲子獣医師。
誰でも見学できるシェルターがあり、そこには選別されたフレンドリーな200頭の犬がいて、病気の犬にはスタッフが口元までご飯を運んでくれる。当初は、多くのスタッフが世話している、そのシェルターで働いていたそうだ。
2カ月ほどして、そこから離れた「スコラ高原シェルター」に行ってくれといわれた。そこで驚く光景を見たというのだ。そこの犬の9割以上は人に慣れていない野犬で、劣悪で狭い空間に900頭ばかりが押し込まれていた。
スタッフは7、8人、フードは1日1回、直径30センチぐらいの皿を20頭に3つ程度置くだけ。満腹にならない犬たちはストレスがたまるため、一部の犬がほかの犬のしっぽを踏んだことで争いになり、全部の犬が弱い犬に「集団リンチ」をして殺してしまうことも多いそうだ。
中には、生まれたばかりの子犬を食べてしまうということまで起こるというのだから、犬の生き地獄である。
その上、驚いたことに、ピースワンコは去勢手術を行わない方針なのだ。その代わり、堕胎薬を使うというのである。竹中獣医師は、それを回収してくれるよう頼んだが、叶わなかったという。
彼女がいた頃も1日100頭の勢いで増えていた。彼女は「これ以上、悲惨な環境に置かれ、無駄に死んでいく犬を増やしてはいけない」と訴える。
新潮は、リンチで無残に殺された犬たちの写真を2枚掲載している。ピースワンコはこうした告発を「事実ではない」と否定しているが、ここを「野良犬たちの楽園」のように報じた朝日新聞(5月17日付の広島全県版)は、どちらのいい分が正しいのか、すぐにも取材をして、全国版でその検証を報じるべきである。事実なら、われわれ愛犬家は許さない。
(文中敬称略/文=元木昌彦)
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