「台風の時にピザを注文するな」「コンビニは“開いていて当たり前”じゃない」災害でも店が開いてる常識がおかしいのだ
先日、近畿地方を中心に猛威を振るった台風21号は、各地に甚大な被害を及ぼした。
近年まれに見る台風がもたらした雨と風による被害を目撃とした人々は、次々とTwitterなどに動画を投稿し話題となった。その中には、布団が吹っ飛んでいる動画。あるいは、店頭に置かれたガチャガチャが風によって、生き物のように暴れ回る動画などもあり話題を呼んだ。
そんな中で注目されたのが、宅配ピザのバイクが風で吹き飛ばされるというものであった。動画では悪天候の中、ドライバーは必死に体勢を立て直そうとするものの、猛烈な風に耐えきれず横転。そのまま、風で吹き飛ばされるような姿を見せていた。
これに対して、ドライバーを心配する声と共に、台風の真っただ中にピザを注文する人の人間性を疑う声や、営業を続ける店舗を非難する声も相次いだ。
ともすればケガをしかねない状況でも配達をやめないのは、どういうわけか。そこには、宅配ピザ業界の台所事情も影響しているようだ。
「近年、ピザに限らずさまざまな外食チェーンが出前を強化しています。そうした中で、宅配ピザは苦境に立たされているのです。ですので、悪天候はむしろ稼ぎ時という意識が先行しているのです」(外食産業関係者)
近年のピザ業界の動向を見ると、大手のピザハットは業績の低迷で赤字。ドミノ・ピザは30分どころか15分で宅配を可能にして業績は好調とされているが、目に見えて増収しているわけではないという指摘もある。こうした実情からくる焦りが「台風こそ稼ぎ時」という意識を生み出しているようだ。
従来、宅配ピザというものは、どんな時でも宅配してくれるという意識が消費者の中にも根付いてきた。それは、現場にとっては決してよいことばかりとはいえないようだ。
同様に「いつでも開いていて当たり前」と思われているのが、コンビニ。先日の北海道地震では、停電でも営業を続けたローカルチェーン・セイコーマートに称讃の声も上がっている。だが、一方で「いつでも、同じサービスを受けることができる」意識にとらわれたユーザーの心無い言動もあった。
一部のコンビニでは長蛇の列が出来、停電のため電卓で対応する店員を罵倒する者もいたのだという。
考えてみれば、災害が起こっているのに店が開いているほうが異例のこと。開いているのが当たり前という現代の常識は、捨てたほうがよさそうだ。
(文=大居候)
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