停電先進国・北朝鮮のとんでもサバイバル術「どうしても電気が必要なら、力を持つべし」
#北朝鮮
北海道で発生した最大震度7の地震では、苫東厚真火力発電所がダウンし、節電を強いられる状況が続く。発電インフラの不足で電力供給が不安定な“停電先進国”の北朝鮮では、人々が知恵を働かせて苦境をしのぐ。大災害の発生時に役立ちそうな、北朝鮮の停電サバイバル術を脱北者らに聞いた。
「7~8年前は平壌でも頻繁に停電した。高級レストランで夕食を楽しんでいると、バチッと全電源が落ちたこともあったが、ウエイトレスのアガシ(娘)が何事もなかったように卓上用のLEDランプを点灯してくれた。なんだかムーディーな夕食になった」(中朝を行き来する貿易関係者)
当時、平壌市内では短時間の停電が相次いでいたため、客商売の店ではどこでも電池式のランプといった明かりが常備されていたという。だが、金正恩・朝鮮労働党委員長の体制が確立されてから電力インフラの立て直しが行われたようで、平壌市内の停電はほぼなくなり、「今は美しい夜景が楽しめる」(同)とか。
一方、北東部・咸鏡北道(ハムギョンブクド)からの脱北者は「地方は置いてきぼりで、慢性的な電力不足に陥っている」と証言する。事実、正恩氏が同地の発電所建設現場を現地指導し、遅々として進まない工事に「理解に苦しむ」と激怒する様子を、7月中旬、北のメディアが報じている。
「電気が来ている時間帯でも、電圧が弱い場合が多い。そこで電圧を引き上げて安定化させる機械がヒット商品になり、企業や工場、一般家庭も導入している。企業ではガソリンで動く自家発電機が完備されており、『電気番』という役職の者が、停電するとすぐに自家発電に切り替える作業を行う」(前出・脱北者)
どうやら、停電を前提にした社会が確立されているようだ。
このほか、カネのある世帯は中国製の太陽光パネルを購入し、屋根の上に置いて自家発電で電力を補っている。先の脱北者は「一番の対策は焦らないことだ。みんな暗闇に慣れている。咸鏡北道では、停電で真っ暗になっても、懐中電灯すら持つ人は少ない。暗くても星や月明かりを頼りに出歩き、家にいたら飯食って寝る。そして、日の出とともに活動開始するため、早起きする」とのこと。
その上で、どうしても電気が必要ならば「力を持つことが重要だ」と力説する。北では停電といっても、すべての地域への送電を止めるわけではないそうだ。送電を担当する役人が、日ごとに電力を回す地域を選ぶ。
「そこの役人に、電話1本でモノを言えるような権力を持つ。または、権力者の友達になればいい」(同)
“停電先進国”は、やはり大変そうだ。
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