人生の岐路に立って少女たちの心は揺れ動く――ドラマ『チア☆ダン』第8話
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そんな頃、汐里は離婚して別々に暮らす父親(津田寛治)に会うため東京に行く。父の口から出たのは、「一緒にアメリカに行かないか」という誘いだった。「私のことはほっておいて」と言いながらも、早くアメリカに行ってチアダンスをやりたい気持ちが迷いを生じさせる。
早々に福井に帰ろうとした汐里だったが、そこである事件に巻き込まれてしまう。翌日、被害者の男性が「彼女から暴行を受け怪我をした」と言い出したのだ。それは、ネットでも拡散され、学内でも大きな話題となってしまう。暴行が本当だとしたら、ROCKETSが目指している大会にも出られなくなるかもしれない。汐里は詳細を話さず、ひとりで問題を抱えていた。
悩んだ末、汐里は、校長(阿川佐和子)宛てに退部届を提出し、部員たちは動揺する。元々ROCKETSは、汐里が作ったチームだ。その汐里が抜けてしまうということは、部活としても存亡の危機だろう。
父と一緒にアメリカに行くという汐里に対し、わかばは「汐里を疑ったまま別れたくない」と言う。その言葉に、汐里は真実を話し始める。
東京で、偶然にもかつての後輩が男に絡まれているのを見かけた汐里は、彼女を助けようとして、男を押し倒してしまったのだ。「人に迷惑がかかるのなら、自分は部活を辞めたほうがいいと思った」と心情を吐露する。
事実を証明することは難しい。しかし、全てを聞いたROCKETSのメンバーは、口々に彼女を信じるという。話を聞いた、教頭の桜沢(木下ほうか)は、汐里とともに東京に行き、彼女の正当防衛を主張する。
ここで、最初に出た「You’ll never walk alone」が効果的に使われる。それぞれのメンバーが汐里を信じて練習する姿、そして東京で、怪我をさせた相手と立ち向かう汐里の姿に合わせ、歌詞とともに曲が流される。それはまるで、ひとつの音楽映画のクライマックスを見ているかのようだった。
桜沢の働きもあって、正当防衛が証明され、ROCKETSに戻ってきた汐里。父に電話をし、今は日本に残ることを伝えるのだ。
そして、わかばもあらためて、父に「仕事を教えて欲しい」と話す。彼女が本気であることを感じた父は、仕事を教えてくれる。
迎えた大会の日、ROCKETSのメンバーは、今まで以上の一体感を持って、ステージへと踏み出していく。同じ高校に通う、チアダンス部のメンバーとして過ごす時間は少ない。それでも、その残された時間を精一杯取り組もうという思いが、メンバー全員にみなぎっていた。
今回は、大胆な音楽の使い方や、顧問の漆戸(オダギリジョー)が全く出てこなかったことなど、挑戦的な演出の回であったと思う。もちろん、見ている時はストーリーの中に入り込んで楽しめばいいのだが、時に、ちょっと引いた視点で、作り手の意図も考えてみると、ドラマはより面白く感じたりするものだ。
ドラマもいよいよ終盤にさしかかる。ラストに向けて、どんな展開、そしてどんな演出が見られるのか、楽しみに待ちたい。
(文=プレヤード)
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