「一人文春砲」で快進撃続く須藤凜々花 “キワモノ”キャラからの脱却なるか
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■求められる新たな魅力の開拓 キワモノからの脱却は成功するか
また、彼女はこの5日に、Zeppダイバーシティ東京で、AK-69やKEN THE 390などのプロに混ざってラッパーデビューを果たすという。ここには同じくラップも得意というとろサーモン久保田かずのぶも出るが、彼女は自身のTwitterで「りりぽんがとろサーモン久保田さんをシャケフレークにするところをぜひ観にきてくださ〜い」と呼びかけている。
こうして活躍している須藤だが、一度ついたイメージというのはなかなか落ちにくいもので、どこへ行っても「キワモノ」発言を求められるのは、一時的に飛躍できるキッカケにはなるが、長い目で見るとあまり得ではない。
今から2年前に彼女は『人生を危険にさらせ!』(幻冬舎)を出版している。もはやファンには有名な1冊だが、社会政治学者・堀内進之介氏との100時間を超える対話をもとにした本で、哲学が好きで「将来の夢は哲学者」という彼女に、それについて手ほどきをしていく対談集だ。
彼女が「哲学書」と言い切っているこの本が、果たしてそこまでの出版物かどうかはここでは論じない。その知識に薄っぺらさを感じる者もいるだろう。ただ、テレビで日頃奔放な発言を繰り返している彼女とはまた違った一面が垣間見える。著書名のもとになった名言の生みの親である哲学者ニーチェを「ニーチェ先輩」と敬称し、「子どもは自由か不自由か?」を真剣に論じ合う姿には、見栄も、てらいもない。
また、本文中、こんなくだりがある。
<わたしがいまここに「生きて存る」ということは、それ自体でもう、ぜったいに表現できないくらい最上級なこと。(中略)あとは、この最大の奇跡に、ちょっとしたオマケをのっけるつもりで、自分自身の人生を自分なりに考えて「よく」していこう……>
また巻末では、哲学に興味を持った理由を以下のように述べている。
<暗記中心の勉強は私たちから物事を自分で考える契機を奪ってしまう。「なぜ?」という疑問を抱く余地すら与えず、あなたの為だからと、挙句の果てには、暗記の仕方まで暗記させるパタナーリズム>
と切り出したうえで、中学の時に試験的に行われていた哲学という授業に衝撃を受け、勉強する意味、働く意味、生きる意味など、あらゆる意味を知りたくて哲学書をむさぼり読んだが、何も教えてくれなかったこと。その時、彼女は「生きるために意味など必要ない、生きねばならないのだと分かったとき、私はとてもうれしくなった」と思ったそうで、最後に「救いがないことに救われた。人生に意味はない。だからこそ好きなように生きようぜ!」と綴っている。まさに今、彼女は著書通り、人生を危険にさらしている。
AKB48をはじめとするAKB連合艦隊。一時期は向かうところ敵なしの不沈空母だったが、「乃木坂号」「欅坂丸」ら他の敵艦も来襲し、「アイドル海」はまさに混沌の様相を呈している。そんな中、一身上の都合により自ら下船した須藤乗組員は、荒波を乗り越え、何を言っても叩かれるという、日本の芸能史上最も過酷な時代をサバイブしていくのだろう。
(文=都築雄一郎)
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