日本人拘束事件から考察する、「笑ってはいけない北朝鮮」トラップ
#北朝鮮 #平壌でムーンウォーク
また、筆者の知人の日本人ライターが訪朝した際、平壌の「柳京館」という高級レストランに足を運ぶと、そこには割烹着を着た金総書記の写真が大きく飾られていたという。
「確か、『料理は科学だ』という言葉とともに、総書記が骨つき唐揚げのようなものを調理している写真でした。大阪のおばちゃんを連想して、つい笑ってしまって……現地の人も“ハッ”とした表情で固まっていました」(ライター)
さらに、こう続ける。
「僕的にツボだったのは、写真を提供したのが金正恩氏である点。お父さんが家で料理を作ってくれた時の写真を使うなんて、割と人間味を感じてしまいました(笑)」
外国人としては笑ってしまうかもしれないが、同時に相手国の不文律を尊重しニュートラルに受け入れる感覚が、訪朝時には求められるかもしれない(※日本政府は北朝鮮への渡航の自粛を求めています)。
私の経験上、笑ってしまったら素直に「これはなんですか?」と聞くと相手を不快にしないし、親切に経緯を教えてくれる。もちろん、嘲笑は許されないが。
このように、日朝間の社会体制と感性が大きく異なるため、誤解や摩擦が起きやすい。
一方で、同じものを見て笑ったり、泣いたりもできる。こんな時「違いを探すよりも共通点を大事にしよう」と言われるが、個人的にはそんなに難しく考えなくても、相手が大事にしているものに触れないだけで十分であると考える。
ことに日朝関係においては、無理に理解しあおうとするよりも、そのほうが奏功しやすいのだ。
●やす・やどろく
ライター、編集者。都内大学院の心理学部在籍中。元朝鮮青年同盟中央委員。 政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>
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