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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 金足農業高校を思わせる野球マンガ

改めて知る川原泉のスゴさ──金足農業高校フィーバーで『甲子園の空に笑え!』が大注目

『甲子園の空に笑え!』白泉社)

 今年の甲子園大会で怒濤の快進撃を見せ、一躍注目を集めた金足農業高校。野球部員が甲子園へと出発する時は、父兄など20人ほどが見送っただけなのに、帰ってきた時には1,000人あまりが出迎えたという。

 予想外の快進撃で、応援団の滞在費が底を尽きかけ、関係者が地元を回ってお金をかき集め、寄付金を呼びかけると2億円を超える額が集まった……こんなシナリオでドラマをつくろうとしたら「話がうまくいきすぎている」と、突っ返されそうなことが現実に起きたのだ。

 地方の野球部が努力の果てに甲子園で大躍進を果たすという、我々がマンガなどで読み、求めていた展開。まさにマンガが現実になったようなそれは、実はすでにマンガにも描かれていた……。

 川原泉の『甲子園の空に笑え!』(白泉社、以下同)が、それである。

『笑う大天使』などのロングセラーで知られる川原のこの作品が「花とゆめ」で連載されたのは、1984年のこと。物語は、九州の田舎にある私立豆の木高校を舞台に、実家はみんな農家。メンバーは9人だけの野球部が甲子園決勝まで勝ち進むというストーリーである。

 川原の描いた物語と金足農業高校とはリンクするところが多いのか、多くの読者が『甲子園の空に笑え!』に言及しているのである。

 それを受けてか、この作品、決勝戦の直後からはネット書店では入荷待ちの状態に。川原作品のファンならば、すでに読んでいて当然なのだが、ネットで知った新規読者が増えているようである。

 昨年も6年ぶりの単行本『バーナム効果であるあるがある』が、発売と共に大反響を呼んだり、世代を横断して人気の高い、川原作品。これを契機に、また川原作品を愛する読者が増えてくれることを願ってやまないという人も多いのではないか。
(文=大居候)

最終更新:2018/08/29 23:00
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