フジテレビ月9『絶対零度』危険人物役でも“損をしない”乃木坂46・白石麻衣の存在感
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ここまで放送された全8話中7話で視聴率2ケタをキープしている月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』。27日放送の第8話も10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、なんとか好調キープです。
今回は、シーズン1・2で貫録十分な警視を演じた北大路欣也が特別出演、さらに乃木坂46・白石麻衣をウェディングドレス姿でゲストに招くなど、中盤でのテコ入れにも余念がありません。
これまで、当レビューではあんまり好意的に捉えていなかった『絶対零度』ですが、第8話は面白かったです。脚本は宇山佳佑さん。シリーズを通じて初登板となります。
では、振り返りましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
■白石麻衣は損をしない
まず全体的な構成の話なんですが、『絶対零度』は基本1話完結の形を取りつつ、全話を通じての縦軸が3本用意されていました。「主人公・井沢警部補(沢村一樹)の家族が殺された謎」「前シリーズまでの主人公・桜木泉(上戸彩)のベトナムでの怪死」それに「法に裁かれない悪人たちを処刑する謎の人物の存在」というもの。この3本に触れつつ、主に「処刑する謎の人物」の話に比重を置いて進めてられきたのが第6話まででした。
その一方で、「井沢の家族が殺された」は、主に井沢の“ときに狂気を帯びる”というキャラクターの裏付けとして機能し、「桜木の怪死」は「ホントに死んでるの?」という謎と、かつて桜木のバディだった山内(横山裕)の性格の繊細さを演出する効果を上げています。
その3本の縦軸が処理されたのが、前々回の第6話でした。「処刑する謎の人物」はその正体を明らかにした上で、拳銃自殺して完全に幕引きとなり、一方「井沢の家族殺害」と「桜木の怪死」は、桜木が残したノートのメモによって“ひとつの事件”として収斂することになります。7話以降は、それまでより太い縦軸が1本残るだけとなったわけです。ここまで再三「シナリオがよく練られている(面白くはないけど)」と書いてきましたが、全話にわたる構成としても、とてもよく考えられているなぁと感心するばかりです。
で、第8話が面白かったのは、そうした構成の部分ですっきり1本にまとまったから、というわけでは全然ありません。単純に『絶対零度』の今シリーズに入って初めて、犯人側に心情が乗ったシナリオだったからです。「未然犯罪捜査システム(通称“ミハン”)」が割り出した“危険人物”が、ようやく、揺れ動く人の心を持った実存的なキャラクターとして登場したのです。
お話は単話で見ても楽しいので、詳細は書きません。FODやらTVerやらでどうぞ。
あるいは今回の“危険人物”が、今をときめく乃木坂46のスーパーエース・白石麻衣だったので、あんまり邪険に扱うことができないという事情があったのかもしれないし、新たに投入された脚本家・宇山さんの人物配置能力、作劇能力といった技術的な部分によるところが大きいのかもしれません。ただ、ここまでの『絶対零度』に圧倒的に足りなかった「犯人には犯人の事情がある」という当たり前の描写に時間が割かれたことで、刑事側に変に肩入れを強要されず、フラットに見ることができました。
今までは、犯人役の俳優が損をする役回りばかりだったんですが、白石麻衣は損をしてなかった。つまり、そういうことです。逆に言えば、沢村一樹や本田翼に見せ場が少なかった回とも言えるわけですが。
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