コンクリ事件犯再逮捕で足立区の溜息……コツコツ続けたイメージアップ戦略が一瞬で崩壊
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29年前に起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」(以下「コンクリ事件」)の犯人グループの1人が、8月19日に埼玉県川口市で殺人未遂の容疑で逮捕され、ネットではこのニュースが大きな話題になっている。コンクリ事件の舞台となった東京都足立区は、ここ数年イメージアップ戦略を続けてきたが、今回の一件で大幅な後退を強いられそうだ。
コンクリ事件は、女子高生が不良グループに拉致され、約40日にわたって監禁・強姦・暴行され死亡し、加害者が遺体をコンクリート詰めにして遺棄したというもの。逮捕された4人はいずれも足立区の同じ中学の出身者だった。19日に逮捕された男はそのうちの1人で、男性の肩を警棒で殴った上、首をナイフで刺したという。
足立区といえば、「都内でもガラが悪い地域」というのが“定説”だったが、そのイメージをより強固なものにしたのがコンクリ事件。そんな悪評を振り払うべく、足立区はここ数年、努力を続けてきた。足立区在住のジャーナリストが語る。
「足立区といえば、出身者のビートたけしが、貧乏ぶりやガラの悪さを散々ネタにしてきましたが、ここ最近、イメージ脱却を本気で図ってきました。その核となるのが『ビューティフル・ウィンドウズ運動』です。これは、割れた窓ガラスを放置するような軽微なことから地域全体が荒廃し、犯罪も増えてしまうという『割れ窓理論(ブロークン・ウインドウズ)』に基づくものです。
区は『防犯パトロールを増やす』『放置自転車を減らす』『花を植える』といった取り組みを行い、一度は刑法犯認知件数は都内ワーストを脱しました。また区内にはつい最近まで大学がありませんでしたが、2000年以降に次々と誘致を行い、本気で文教地区への転換を図っています。2010年には『シティプロモーション課』という組織も立ち上げ、イメージアップ戦略を展開してきました」
大学の誘致、つくばエクスプレスや日暮里・舎人ライナーの開業で、区内の公共交通の利便性も向上。区の中心地・北千住は、「住みたい街ランキング」でも上位にランクインするようになった。しかし今回の「コンクリ事件犯、再び逮捕」のニュースは、足立区に再び暗い影を落としそうだ。
「コンクリ事件は犯人が少年だったため、その素性が最後まで伝えられなかった上に、主犯でも懲役20年だったため、『罪が軽すぎる』と、事件から30年近く経過しても不満を抱える者が少なくありません。しかも犯人グループの4人のうち、準主犯のBが04年に監禁や傷害などの罪で逮捕・服役し、主犯のAも振込詐欺で13年に逮捕されているので(後に不起訴)、今回の件で4人中3人が警察の厄介になったことになります。
今回逮捕された男が事件を起こしたのは足立区ではありませんでしたが、ネットには『やっぱり足立区育ちのヤツは』といったコメントが次々と寄せられています。しかも長らくワーストを脱していた刑法犯認知件数も、実は17年にワーストに“返り咲いて”いるんです。イメージアップに取り組んできた区長や担当者、そして何より多くの足立区民が溜息をついていると思いますよ」(同)
人を殺めた者を「少年」という盾で守り、更正を期待して有期刑に処した意味は果たしてあったのだろうか……。
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