クレイジーな手越祐也のワンマンショー!『ゼロ 一獲千金ゲーム』6話はベスト回
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■『イッテQ!』のノリのまま役を演じる手越
小太郎の陰の部分(いじめられた過去)を隠すのは、常軌を逸した軽薄さだ。このノリが、いかにも手越にマッチしていた。ヒロシが不正解を連発すると大喜びし、ゼロが難問に正解すると口を尖らせる。感情をあらわにしながらコロコロと表情を変える小太郎の顔芸は、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)での手越そのまんま!
ツカミからして、小太郎はイカしてた。
「ブラザー、ウエルカム! 待ってたよ、ブラザー。ようこそ、ジ・アンカーへ。僕は、君たちの命運を握るこのジ・アンカーの支配者、小太郎・ヒルマウンテンウィリアムス・ハリソンジャガーサタケ・ジェームス城山だよ。ヨロシクね!」(小太郎)
ピカソの本名のように、長ったらしい名前で自己紹介する小太郎。他のドラマだと演技力が賛否両論を呼んだ手越も、今作は史上最強のハマリ役である。……というか、これこそ素の手越。「手越祐也役」を手越祐也が演じている感さえある。福山雅治のものまねを福山雅治本人がやっている、そんな域だ。
はっきり言って、作品そのものには苦言を呈さずにはいられない。まず、セットがしょぼすぎる。あんな狭いスペースに3人を貧乏くさく並べといて、その頭上を公園の遊具みたいな錨が行き来する。チープな光景に、筆者は目を疑った。
原作で描かれた「ザ・アンカー」は、ドラマ版の100倍のスケールだった。大仰な舞台に固定され、まな板の上の鯉になる3人。そこにかぶさるは、小太郎の奇妙なMC。危険と軽薄のコントラストは、命がオモチャにされている感を鮮明にしていた。
でも、もういい。ちょっとしたクイズ番組に成り下がっているが、手越にはこっちが向いてる気がする。ヒロシが不正解しそうになると「僕を人殺しにしないで~」とおどけてみせる小太郎。死ぬかもしれないのに、手越のせいで笑ってしまう。
こんなノリには、しょぼいセットもありだ。もっと演技力のある役者(竹中直人など)が演じたら迫力が出る気もしたが、もはや我々はそういうのをこのドラマに求めていない。手越がいい。
今回、筆者は手越の体幹を再認識した。小太郎という役の非現実さが手越にハマっているとも感じたが、実は普段の手越と小太郎に大差はない。要するに、普段から手越はクレイジーだということ。タレントとしての素材が良いのだ。
手越のおかげで、第6話は時間が過ぎるのがあっという間だった。完全なる、手越のワンマンショー。
今まで、「このドラマはテンポが悪い」と苦言を呈してきた。ケガの功名だろうか? テンポが悪いゆえに、来週も手越である。見ずにはいられない。
次回予告を見ると、パシリにされていた小太郎の闇の部分をゼロはいじりにかかるよう。軽薄の下に隠された小太郎の闇の部分を、手越はどう演じるのか? 要注目だ。もしかしたら、新境地を開くかもしれない。
(文=寺西ジャジューカ)
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