フジテレビ月9『絶対零度』本田翼と青野楓の“キャットファイト”が素晴らしい! けど……
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■細かく見るとアレなので、細かく見ないように……
結果、ユキオくんのお父さんと思われていた人物が実はキタノで、いろいろ解決しました。興味があれば、FODなどで無料で見られるのでチェックしてみてください。「児童虐待」「指紋認証」「謎の男キタノ」というお題で無理やりに組み上げた三題噺みたいなストーリーですが、本田翼と青野楓による、わりとちゃんとしたキャットファイトがあったり、徹底的に無表情・無感情な役どころだったオスカーイチオシ女優の田中道子が「デレ」に転じてみたりと、それなりに見どころのある回だったと思います。この田中道子の「デレ」は、オスカーからの「うちの道子にも、無表情だけじゃなく見せ場を作りなさいよ」という注文に従ったのだと思われますが、かわいいのでよいのではないかと思いました。
ただ、全体的に苦しそうだなぁと思うんです。
お話を作っている人たちが、いわゆる「人殺しのドラマ」を愛していない感じがビンビンに伝わってくる。ここまで、このドラマには人殺しが2種類出てきました。ミハンチームの田村さんと、それ以外です。それ以外のみなさんにも、それぞれ事情があるのに、ドラマは田村さんだけに理解を示して、その他の殺人者たち、犯罪者たちを「クズ」と断じる。「クズばかりだ」と。「なんで生きてるんだ、クズが……!」と。
こうした一面的な視点は「人殺しのドラマ」つまりは「刑事ドラマ」が内包する情緒を著しく削ぐものと思います。視聴者が共感するべき人物が警察側だけになってしまうし、ミハンチームの面々が視聴者以上に犯罪者を強く憎んでいるので、置いてけぼりにされている感じがする。
それともうひとつ、今回いかにも『絶対零度』だなーと思う描写があったので、記しておきます。
張り込み部屋で山内(横山裕)と2人になった井沢(沢村一樹)が、「たまにはちゃんとしたものを食え」と言いながら、野菜炒めを作るんです。そして「こうして2人でご飯を食べるなんてなぁ」とか言いながら、その1人前くらいしかない野菜炒めを2人で食べる。
いやーあのね、「ちゃんとしたものを食え」と言うんだったら、ですよ。野菜炒めだけじゃなく、みそ汁と米と、なんだったらお漬物くらい付けてもいいんじゃないかと。少し間を置いて、リラックスムードで2人が話をするシーンを演出するための「ちゃんとしたものを食え」であることはわかりますけど、野菜炒め半人前ずつって、全然ちゃんとしてないじゃん。
ここで野菜炒めしか出てこない、つまり「ちゃんとしたもの」の「記号(=野菜)」しか出てこない。人間の生活感を演出することを、最初から放棄してる。このドラマに出てくる、あらゆる感情表現や事実関係の説明が、この「野菜炒めだけの食事」みたいに感じるんですよ。食べる側、受け取る側の気持ちを、あんまり考えてないように思える。作る側の事情を押しつけられてるように感じる。人間を描くことは生活を描くことだし、本来は、みそ汁と米とお漬物を描くことだよなーと思って、なんか『絶対零度』の食い足りなさが腑に落ちた感じです。
そんなわけで、作り手のみなさんが苦しみながら知恵を絞ってシナリオを練り上げていることは伝わってます! では、また次回!
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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