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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『絶対零度』の“食い足りなさ”

フジテレビ月9『絶対零度』本田翼と青野楓の“キャットファイト”が素晴らしい! けど……

フジテレビ系『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』番組公式サイトより

 好調を続けるフジテレビ系の月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』も第7話。視聴率は10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今週も2ケタキープです。強い。

 ここまで、この作品を引っ張っているのは、ひとえに主演・沢村一樹の芝居だと感じます。ときに軽妙で頼りがいのあるリーダー、ときに狂気をはらんだ闇深き刑事をいったりきたりする演技の迫力は、少なくともここ数年の月9では見られなかったプロの役者の仕事といえるでしょう。さらに、テンポ重視、というかテンポさえ出せれば視聴者はついてくる! と割り切った脚本も、作品に推進力を生んでいます。

 テンポさえ出せれば、と書きましたが、逆に言うと、このドラマのシナリオはテンポを出すためにかなりストーリーを削り込んでいるように見えます。結果、物語は記号的なプロットを重ねるばかりで、説得力はかなり薄いです。そして説得力が薄い物語の上に、わりとハードな悲劇的エッセンスを振りかけているので、ちょっと見ずらいなぁと思っているのですが、視聴率いいからそんなことないのかな。

 というわけで、振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■センチメンタルがすぎる……

 国民の行動データを完全網羅した巨大AI「未然犯罪捜査システム(通称“ミハン”)」が割り出した“危険人物”を対象に捜査を行う警視庁の極秘組織「ミハンチーム」。前回、そのメンバーのひとりだった田村さん(平田満)が、ミハン捜査によって割り出された事件関係者3人を知らぬ間にブッ殺していたことが発覚し、田村さんはメンバーの目の前で拳銃自殺してしまいました。わりとハードな悲劇的エッセンスです。

 ハードすぎて、遺された面々もうまく処理できない様子。現役の警察官が違法捜査を行った上に、無実(検挙されてないという意味で)の一般人を3人殺害するという前代未聞のスキャンダルですが、警視庁側は「1人は公表しなきゃだけど、あと2人は……」とか言いながら、ヌルッと隠ぺい。責任を問われる立場であるミハンのボス・東堂さん(伊藤淳史)も「彼は初めからミハンに存在しなかった!」と断言し、事件を闇に葬りました。

 そんなミハンが今回リストアップしたのは、新谷啓一(小柳友)という人物。どうやら麻薬密売組織に関与しているらしく、その組織のボスは「キタノ」という、顔も本名もわからない人物だそうです。新谷が、その「キタノ」である可能性も捨てきれません。うーん、今回もややこしそうです。

 ミハンチームは、新谷が妻(青野楓)と暮らす団地の向かいに張り込み部屋を借りると、さっそく小田切(本田翼)が新婚さんに扮して新谷家にアプローチ。新谷妻と顔見知りになったり、事情通のおばちゃんと仲良くなったりしながら、捜査を進めます。

 すると、新谷家の真上の部屋に異変が。小さな男の子(山城琉飛)がベランダに放り出されて、酷暑にあえいでいるではないですか。どうやら、児童が虐待されているようですが、聞けばそのユキオくんという男の子は「虐待なんてされてない」と言い張っているようで、児相も警察も手を出せないのだとか。小田切たち張り込み班は、虐待現場を完全にその目で目撃しているわけですが、「俺たちが立ち入っても何もできない」と、なぜかあきらめムード。さらに「誰も救えない、田村さんも救えなかった……」などと、児童が死にかけているのを尻目にセンチメンタルに浸るなど、のん気な時間を過ごします。

 その後、ユキオくんと公園で仲良く遊ぶお父さんらしき人物と接触したり、新谷の奥さんの不倫現場を押さえてみたら不倫じゃなくて、何かの取り引きだったりしつつ、さらに捜査は進みます。

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