台風の恐れも乗り越えて笑いの中でついにお目見え! 「聖地巡礼発祥の地」の石碑が田切駅前に建立
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そんなお気楽ご気楽な楽しいヤツらが、今年は一段と盛り上がった。
田切駅前の聖徳寺の敷地の提供を受け、有志の出資による「アニメ聖地巡礼発祥の地」の石碑が建立されたのである。
このイベントの実行委員会の委員長をやってくれている伊那市役所職員の牧田豊さんが「石碑を建てよう」と言い出したのは2016年の開催時。18年は田切駅も開業100周年。ちょうど、きりもいいので、この時に建てようという話であった。
話を聞いた参加者のノリはよかった。石碑ができても押すな押すなと観光客が来るわけでもない。付近にお金を落とすことができる施設があるわけでもない(駅前には自販機が一台。買い物ができる道の駅までは1キロ弱)。面白そうだから、そんなのがあってもいいかと、みんな賛同し1口2000円の寄付をした。きっと、翌年も、みんなで2000円を払えば、そこそこの金額になり小さな記念碑くらいは建つのだろう。そんなことを思っていた。
ところが17年の開催時には、新たな寄付の話もない。牧田さんに聞いてみたら「思いのほか、集まって……」。
牧田さん自身、言い出しっぺゆえに多めに出すつもりだったのだが、その金額+集まった金額ですでに十分どころか、予定よりも巨大な碑が建てられることになったのだ。
こうして、いよいよ完成し迎えたイベント当日の除幕式。それはまた、参加者の日頃の行いがどうなっているのかというイベントだった。開催日の7月28日は、数日前から台風の直撃予想。集まる参加者も、少しばかり気持ちが萎えた。前日、地元紙の「長野日報」で「明日除幕式」と報じられたこともあり、除幕式をやって解散。あとは「どうやって、伊那谷を堪能しようか」と考えるヤツもいた。筆者もそちらの側である。やっぱり、慣れていない道を雨と風の中で、自転車で進むのは危ない。それよりも、テンホウの餃子に、ひねもすの十割そば……と、食べる物のことばかりを考えていた。
それがどうしたことだろう。当日になり状況は変わった。台風の影響で天気が崩れるのは、夕方以降という予報になったのである。
こうして、微妙な曇り空の中で、晴れやかに除幕式は行われた。
これもまた、初めて見る除幕式。通常、除幕式といえば、来賓の人が紐をひくと綺麗な白い布がとれて、碑が姿を現すはず。でも、台風も近づいていたために、それは断念。
来賓の方々に、紐をひいているフリをしている間に、養生をしているブルーシートをはがすという形になったのである。
頑丈に紐でくくられたブルーシートは、容易に外れず、半ば予想通り笑いの中での除幕式となった。
ついに完成した「アニメ聖地巡礼発祥の地」。前述の通り、これを契機に観光客がワンサカ訪れたりすることはない。ただ、田切駅にはいまでも駅ノートが置かれ、一年を通じて、誰かしらが訪れて作品の風景に触れている場所である。そうした人々を出迎える、一つの要素として……。
あるいは「このあたりには、面白い人たちがいるものだ」「お、うちにもアニメ聖地巡礼発祥の地の碑を建てよう」……そんなことを考える人が増えれば、それでいい。
(取材・文=昼間たかし)
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