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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『ケンカツ』視聴率上昇の兆し見えず

『健康で文化的な最低限度の生活』孤独なシンママ役・安達祐実の演技が光るも、視聴率上昇の兆しは見えず……

 今回は主人公のえみるが脇に回り、七条がメインを務める回だったのですが、むしろ主役はゲスト出演の安達祐実だったのではないか、と思えるほど演技が卓越していました。

 幼少期から責任感が強く、周囲の期待に応えて生きてきた朋美ですが、進学・就職も順風満帆に進んでいたものの、離婚によってそれまで積み上げてきたものや、理想としていた未来がすべて崩壊してしまったんですね。

 しかし、キャリアを取り戻したいという意地や、結婚せずに働き続ける同期への見栄だけは消えずにある。だからこそ、生活保護受給という現実がつらく、娘の存在が息苦しい。孤独を抱え、次第に精神的に崩壊していくサマを、安達が見事に演じていました。特に、トイレの窓辺に立つシーンでは、本当に飛び降りてしまうのではないか、とゾッとしてしまいました。

 その後、精神科での受診を経て、七条と話し合うシーンでは、キャリア志向を捨てて娘のことを第一に考え生きていく決意表明をしますが、これはもしかしたら、シングルマザーの方が誰しも通る道なのかもしれません。

 1人の女性として思い描く人生がある一方、子育てによる制限が生じてしまう。100%両立できればいいのですが、さまざまな要因によってすべてが思い通りにいくとは限りません。多少の差はあれ、夢か子どもか、どちらを優先させるべきか決めなければならない転換点が訪れるのではないでしょうか。

 今回は朋美にとっての過渡期が描かれたわけですが、最後に“母親”として生きていくことを選び、まるで毒気が抜けたように清々しい表情を浮かべる安達の演技が印象的でした。

 その様子を見守った七条もまた、本当の意味で母親の苦労を知り、ケースワーカーとしても大きく成長できたことでしょう。空回りしつつも愚直なキャラクターを、山田裕貴が好演していました。次回からはまたえみるがメインになるようなので、脇役に負けない存在感を発揮してもらいたいと思います。

(文=大羽鴨乃)

最終更新:2018/08/08 20:00
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