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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > “人殺しの息子”壮絶な半生
凶悪犯罪の真相

フジ『ザ・ノンフィクション』“人殺しの息子”がテレビカメラの前で語った、両親への複雑な思い

 その成育環境から、世間の「普通」とはかけ離れた青春時代を過ごしてきた彼は、成人し、結婚。現在は妻とともに穏やかな生活を送っている。では、なぜそんな環境を手にしながらも、テレビカメラの前に立つことを決意したのだろうか?

「こういうふうに俺が発言しているのをテレビで見たりして、何を偉そうに、何をいまさら、なんでお前が……っていう人たちも、たくさんいると思うんですけど。そうではなく純粋に興味を持ってくれる人、考え方が変わってくれる人、何かのきっかけになる人っていうのもいる気がするんですよね(中略)俺にしか伝えられないことを俺なりのやり方で知ってもらうかなと」

「恵まれない環境でも、両親が犯罪者でも、自分が犯罪者だったとしても……、俺は犯罪してないですけど、生きてます、生きていけます」

 両親から受けたトラウマにより、光を浴びることが苦手でいまだ夜に電気をつけることはできず、風呂に沈められたこともあるので、水を飲むこともできない。何よりも、自分の性格の中にある「父親に似た部分」を恐れながら毎日を送っている。しかし、そんな日々を送りながらも、過去を乗り越えて「幸せだ」と語る彼の姿は胸を打つものがある。彼のインタビューをもとにしたドキュメンタリー番組は、日曜昼間の放送にもかかわらず、10%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)もの高視聴率を記録。これを受け、後日、2時間にわたる特番としてゴールデンタイムに全国放送されると、「涙が出た」「強さを感じた」と、多くの視聴者の心を動かしたのだ。

 両親が引き起こした凄惨な事件に翻弄されながらも、それに向き合い続けてきた25歳の青年。その生い立ちを恨むことなく、彼は、力強く生き続けている。

(文=萩原雄太[かもめマシーン])

最終更新:2018/08/07 21:00
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