夢は言葉にすることで現実に近づいていく――ドラマ『チア☆ダン』第3話
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そんな「目標の明確化」については、漆戸も考え始めていた。大きな目標に向かって、まず何をすべきかをブレイクダウンして書き綴るという「夢ノート」を部員に提案したのだ。
しかし、それが「JETS」がやっていたことだと知ったメンバーは、乗り気ではない。
大会に向け厳しさを増す汐里の指導に、仲間割れしそうになるメンバーだったが、そんな時、麻子(佐久間由衣)の提案で、わかばがチアダンス部の部長になる。結束を取り戻した部員たちは、いよいよ、本番に臨む。しかし、緊張と実力不足でROCKETSはミスを連発。散々な結果に終わる。
すっかり自信をなくし、夢を諦めようとしたメンバーに対し、漆戸はひとりひとりアドバイスをする。そして、夢を持つことの素晴らしさを語るのだ。それはもしかしたら、自信を取り戻しつつあった漆戸が自分自身に言い聞かせた言葉だったのかもしれない。
その日の夜、家を飛び出したわかばが向かったのは、部室だった。そこには他のメンバーも集まってくる。「絶対に強くなる!」と口々に言い合い、そして漆戸が提案していた夢ノートを書き始める。すぐにできる目標は「おやつを我慢」「しいたけを食べる」「もっとしゃべる」など、ささやかなものだった。
どんなに小さなことでも、今やるべきことを書き綴る「夢ノート」、やはりこれは“まず書くこと”に意味があると思う。たとえ一番大きく書かれた目標に届かなかったとしても、どこまでたどりついたかを知ることができる。後々そのノートを見返すたびに、「ここまではできた」「このあたりで挫折した」というポイントが見つかり、自分の中での自信につながったり、次に「夢ノート」を作るときの参考にすることもできるだろう。
夢を言葉にし、書き綴っていくことで現実は間違いなく近づいてくる。わかばたちはそれに気付いたのだ。
大きな目標から、数カ月で達成する目標、1カ月以内の目標、週の目標、毎日できる(今すぐにでも始められる)目標。それを文字にすることで、メンバーは「全米制覇」という大きな夢が、身の回りの小さな努力につながっていることを感じるのだ。
今の若い人は夢を持たない、というような風潮もあるようだが、私はそうとは思わない。「夢」という言葉は使わずとも、「あんなふうになりたい」「こんな生活をしてみたい」という望みは、誰しもが持っているものだろう。
確かに、「夢は大きく持て」「夢は必ずかなう」「夢を持つのは素敵なこと」などと声高に叫ばれると、いささか気恥ずかしくなってしまうのも事実だ。それに、長いこと生きていると、夢にこだわったばかりに、かえって苦しい思いをしてきた人というのも見てきた。でもそんなことは、嫌でも現実が教えてくれる。
夢を持つことは素晴らしい。そんな言葉を恥ずかしげもなく言えるほど若くはなくなってしまった。それでも、せめてドラマの中ぐらいは、そんな言葉を信じてみたくなるのだ。
身をもって夢を追うことの意味を教えてくれるこのドラマ。少女たちとともに、この夏を突っ走ってほしい。
(文=プレヤード)
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