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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 少女たちが夢を持つ『チアダン』3話

夢は言葉にすることで現実に近づいていく――ドラマ『チア☆ダン』第3話

TBS系『チア☆ダン』番組公式サイトより

(前回までのレビューはこちらから)

 学生時代は吹奏楽部に入っていた。全国大会へと続くコンクールが夏休みの間にあったが大して強いチームではなかったし、私自身も音楽の才能は全くなかったようで、重要なパートを任されることのない、目立たない存在だった。それでも、夏の思い出というと、きまって部活のことが浮かんでくる。

 体育会系の多くの競技も、夏休みの間に大会があるようだ。休み中であれば練習に集中できるという理由もあるだろうが、そもそも、夏は、若者がいろいろな面で成長する季節だというのも大きいと思う。灼熱の太陽の下で、少年も少女も少しずつ大人に近づいていくのだ。

 ドラマ『チア☆ダン』(TBS系)第3話でも、物語は夏休みに突入した。

 目標であった人数8人を集め、無事に部活動として認められたチアダンス部。早速練習場所を探すわかば(土屋太鳳)だっだが、彼女たちに練習場所として与えられたのは、しばらく使われていない荒れ放題の建物だった。荷物を運び出し、中の片付けを始めるメンバーたち。それはまるで、自分の中でくすぶっていた「何かをやりたい」という思いを整理するかのようだった。

 深読みをするならば、そこには校長(阿川佐和子)の思惑があったのではないだろうか。同じ目標を持って集まったとはいえ、まだまだ結束力も弱い8人だ。特に気の強そうな人間や、協調性のない人間もいる。みんなで一緒に掃除をし、自分たちの場所を作るという作業は、それぞれの性格を見極め、結束力を高める一助となったことだろう。その狙い通り、部屋を手に入れた彼女たちは、一つ山を登ったような一体感を手にしていた。

 一方、教師の漆戸(オダギリジョー)は、いまだ顧問になることに迷いを抱く。彼はかつて、担当していたテニス部の男子生徒を厳しく指導し、怪我をさせてしまったことがあったのだ。その後、「パワハラ教師」と非難を受け、心身を病んでしまう。そのトラウマから、チアダンス部のメンバーとの関わり方に悩んだのだ。

 部室も片付き、いよいよ練習ができそうだという時、汐里(石井杏奈)が1枚のポスターを持ってくる。そこに書かれていたのは「チアダンス福井大会」の文字。日程は9月1日、まさにこの夏休みが勝負といえる。もちろん、全米制覇を果たした福井中央高校の「JETS」も出る。初めて直接対決するのだ。

 期限のある新たな目標ができたメンバーたちは、部室の壁に自分たちの意気込みを書く。「打倒JETS!!」「めざせ全米制覇」そんな言葉が、彼女たちの練習を見守る。

 汐里の思いつきによるものだが、これには大きな意味があったと思う。日本には「言霊」という文化がある。心に思っているだけのことでも、それを言葉や文字にすることで、今まで以上の力を発揮するというようなことだ。実際の霊的なものがあるのかどうかは知る由もないが、漠然と思い描いているものを具体化することで、考えがまとまり、やるべきことが明確になるという効果はあるだろう。

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