『グッド・ドクター』安直&性急すぎる展開で、上野樹里の演技力がなければ大惨事に!
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さて感想ですが、第1話と2話は山崎の好演が光っていたこともあり、及第点以上の出来だったと思うのですが、今回はガクッと質が落ちてしまった印象です。
まず、ただでさえ人材不足の小児外科で、エースと目される高山を謹慎処分にする設定が謎。前回、ガイドラインを破ったためと説明がありますが、「責任を負う」と連呼していたのは病院長の司賀明(柄本明)だったはずです。
これは恐らく、夏美のオペ失敗という流れをつくるための、苦肉の策だったのでしょう。しかし、執刀経験のない夏美に、成功率の極めて低い手術を任せるなんて、あまりにもムチャクチャすぎます。
失敗から立ち直ることで、医師としての夏美の成長を描きたかったのでしょうが、脚本が安直かつ性急すぎました。このドラマにおいて夏美は、湊とW主演といってもいいぐらい重要な役なのですから、たとえば今回のラストでオペ失敗し、次回の冒頭から悩みに悩みまくった結果、ラストシーンでブレークスルーする、という丁寧な描き方でも良かったのではないでしょうか。
それと、美結の両親役の演技があまりに大袈裟すぎたため、見てるこちらはどんどんシラケていってしまいました。特に父親役の高橋洋の芝居がクサすぎたため、“娘を亡くした心痛に苦しむ”姿にまったく感情移入することができませんでした。上野の演技力の高さで、なんとかドラマとしての最低限のクオリティーを保っていたようなもので、もし他の役者だったら大惨事になっていたかもしれません。
前回、前々回とそれなりに丁寧なつくりだっただけに、なぜ急に質が低下したのか不思議だったのですが、今回は脚本家も演出家も別の人に交代したようですね。どういう事情で交代となったのか、この先も今回のペアを継続するのか定かではありませんが、個人的には前回までのペアに戻した方が良策だと思います。ちょっと今回は見てられなかった……このままいくと視聴率にも期待がもてなくなってしまいそうです。
その一方で、湊に対する他の医師たちのぞんざいな態度はこれまでと共通していたのですが、前回のレビューでも指摘した通り、乱暴なシーンは見直した方がいいと思います。自閉症の方々が暴力行為を受けてしまう助長になりかねません。
それから、今回、美結の服とラジオ体操のカードを両親に届けたように、湊がピュアさを全開にした、“ほら、ここで感動して”といわんばかりの演出が毎回、定番になってきているため、このあざとさが段々と鼻について視聴者離れを引き起こすのではないかとの懸念も感じられました。
また、湊が今後、執刀医へと成長しないのであれば、ただのピエロのような役回りで終始してしまう可能性も。せっかくの山崎の好演が無駄にならないよう、脚本家&演出家の奮闘に期待したいです。
(文=大羽鴨乃)
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