悪役は敵のように見えて、一番の味方になったりする――ドラマ『チア☆ダン』第2話レビュー
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終業式当日のパフォーマンス、まだまだの実力に笑いも起きる中、一心にステージを見つめる二人の少女がいた。一人は、ほとんど学校にも来ず、ストリートダンスに打ち込んでいた、柴田茉希(山本舞香)。「人に合わせて踊るのが嫌い」と言って心を閉ざす茉希に寄り添うようにして、実は汐里がアプローチを続けていたのだ。パフォーマンスが終わり、彼女は一緒にチアダンスに取り組むことを決意する。
そしてもう一人、仲間に加わりたいと言ったのは、ずっとチアダンス部を敵対視してきた麻子だった。生徒たちはどよめき、嘲笑する。そんな時、わかばは叫ぶ。
「人がやりたいことを笑うな!」
他人から見て笑われるようなことでも、好きなことをやるのは決して悪いことではない。彼女はROCKETSメンバーの思いに共感したのだ。父である教頭は、麻子に「今は将来のために大事な時期だ」と諭す。それでも、麻子の思いは揺るがない。
確かに、勉強をするのも高校生の今しかないかもしれない。しかし、チアダンスをするのも今しかない。厳密にいえば、世の中は今しかできないことだらけなのだ。その「今しかできないこと」に優先順位をつけ、取り組んでいくのが、同じ時間を繰り返すことのできない私たちに与えられた最良の方法だ。
麻子は、その決断を前にして、何を思っただろう。親の期待や将来の安定、でも、今チアダンスがやりたいという気持ち……。心を澄ませ、ROCKETSのチアを見て、最終的に彼女はチアを選んだ。もしかしたら、この選択によって、進むはずだった未来を見失ったかもしれない。勉強に明け暮れいい大学に進学し、就職、結婚……親から教えられた道は、ある程度の幸せを手に入れるための、一番リスクの少ない方法だ。それは、親の考えとして正しい。
それでも、その道がどれだけ幸せで安定したものであったとしても、それ以上に魅力的な道に進んでしまう人はいる。それが自我の目覚めともいえることだ。その時には、ぜひ、自分の意思を優先して欲しい。
第2話までを見て、この物語のメッセージが見えてきた。このドラマは、いろいろとくすぶった思いを抱えていた少女たちの、“心の解放”の物語なのだ。
チアに限ったことではないが、表現を伴う競技では、この「心の解放」というのは、一つのキーワードになるのではないかと思っている。誰かが抱えた苦しさと、それを乗り越えた解放感をパフォーマンスで表す。時に、それを見るものは、大きなカタルシスを感じることだろう。
部は設立された。顧問も決まった。しかし、「JETSに勝って全米制覇する」という目標のためには、スタートラインに立ったにすぎない。まだまだ彼女たちが乗り越えていくべき壁は多いことだろう。その姿こそが、見ている私達に勇気と感動を与えてくれる。
この夏、彼女たちはどれだけの壁を乗り越え、見ている私たちに、何度その爽快な気持ちを味わわせてくれるだろうか。
(文=プレヤード)
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