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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > ラーメン店の「腕組み」元祖は?

ラーメン店店主の定番「腕組み」元祖は佐野実だった! ポーズに隠された信念とは?

■『ガチンコ!』の佐野が一貫して「腕組み」をした理由

 番組は、多くのラーメン店が集まる施設、立川の「ラーメンスクエア」を訪れた。ここにはラーメン店店主のポスターが所狭しと設置されており、そのどれもがやはり腕を組んでいる。

 各店主に「腕組み」について取材をすると、不意にある店主から1人の男の名前が挙がった。

「佐野実さんが(腕組みを)始めたんじゃないかなと思ってるんですけど」

 99~03年にまで放送されていた『ガチンコ!』(TBS系)の企画「ガチンコ! ラーメン道」の講師を務めた“ラーメンの鬼”佐野実! 彼が「腕組み」の元祖なのだろうか?

 いよいよ、ここからが調査のヤマ場。14年に佐野は他界しており、番組は夫人のしおりさんに話を聞きに行った。

「まあ、間違いなく影響を与え、腕組みをする風潮を作ったのは佐野じゃないかと私も思います」

 佐野がラーメン店「支那そばや」をオープンしたのは86年。その3~4年後にはマスコミが取材で店を訪れるようになっており、なんとその頃から佐野は「腕組み」していたらしい。90年頃、すなわち30年近く前からだ!

 別の角度からの検証も行われた。92年に佐野を取材したカメラマン・嶋田邦雄氏から、貴重な証言を得ることができたのだ。

「(佐野は92年には腕を)組まれてましたね」

「あの時、(こちらから)ポージングの指示はしなかったです」

「クセなのかわからないですけど、腕組んでる姿が(佐野の)普段の姿という感じでした(笑)」

 佐野のイメージが抜けなくなった嶋田氏は、以降、取材の際に「とりあえず腕組んでください」と、必ずポージング指示をするようになったという。

 だけど、なぜ佐野は一貫して腕を組んだのだろう? その理由については、しおり夫人が説明する。

「『どうだ!』っていう責任。『自信を持ってお出しして、責任持ってやってるぞ』、それが自然と腕組みに表れたんじゃないかと」

 なるほど、「腕組み」はラーメンに命を懸ける男の誠実さの表れだった。

 佐野の「腕組み」には、ほかにもうひとつの理由がある。佐野が店をオープンした頃、ラーメンは飲食業界で“底辺の食べ物”だったそう。

 「『ラーメン店をやりたいんだ』って言ったら、『ラーメン店なんかに!?』みたいな反応をされる。自分が大好きなラーメンをやろうとしてるのに、馬鹿にする言い方をされて火がつき、『よし、頑張ろう!』と思ったのは間違いないですね」

 完全に、答えに行き着いたようだ。ラーメン店店主の定番「腕組み」のルーツは、佐野実にある。そして90年代半ばのラーメンブーム時、取材カメラマンは各店主に佐野のポーズ(腕組み)を指示。結果、「腕組み」のイメージが浸透した……というわけだ。

 いや、佐野が普及させたのは「腕組み」だけじゃない。佐野を取材したカメラマンの嶋田氏は、その後カメラマンを辞め、なんと、自らラーメン店を開業していた。

「佐野さんが貫いてきたラーメンへの想いですとか信念を引き継ぐというのが、私の想いですね」

「腕組み」に込められた感情は、まさにガチンコ。そして、そのスピリッツは、関わった々へと受け継がれていた。佐野実の「腕組み」は、他人の人生を変えてしまうほどガチだったのだ。

(文=寺西ジャジューカ)

 

最終更新:2018/07/24 18:00
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