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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 永野芽郁、朝ドラで化けた!
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

NHK朝ドラ『半分、青い。』で化けた! 永野芽郁が名実ともに”若手No.1女優”へ急成長中

NHK朝ドラ『半分、青い。』

 永野芽郁というと、映画『俺物語!!』で演じた、ふわっとした天然系のお嬢様というイメージが強かった。

 紙袋をかぶった男子高校生を好きになる女子高生を演じた連続ドラマ『こえ恋』(テレビ東京系)もそうだが、リアルな女性よりは現実感のない浮世離れしたキャラクターを演じた時の印象のほうが強く、NHK連続テレビ小説の『半分、青い。』もその路線を踏襲するのかと思っていた。

 しかし、本作で永野が演じる楡野鈴愛(にれの・すずめ)は一筋縄では行かない複雑な個性を持った女性で、しかも年齢を重ねることで、どんどん変化していく。

 そんな鈴愛を演じることで永野もまた、今までの殻を脱ぎ捨て、どんどん女優として成長しているのが、手に取るようにわかる。

 左耳が聞こえないという障害を抱える鈴愛は高校卒業後、故郷の岐阜から上京し、漫画家・秋風羽織(豊川悦司)のアシスタントとして働くことになる。数年の下積みののち、やがて漫画家デビュー。しかし、連載はマンネリ化した末に打ち切られ、やがて才能の限界を感じ、漫画家を辞めることになる。一方、幼なじみで、誰よりも深いつながりのあった萩尾律(佐藤健)も結婚してしまう。

 その後、100円ショップで働くようになった鈴愛はバイト先にやってきた森山涼次(間宮祥太朗)と知り合う。映画会社で助監督として働く涼次と意気投合した鈴愛は、出会って6日で結婚。しかし、一見優しい涼次には優柔不断なところがあり、2人のお金を映画製作資金に使ってしまう。

 今までは、おっとりとしたイメージが強かった永野だったが、本作の鈴愛はアクティブ。同時に朝ドラヒロインとしては型破りの存在というか、とても生々しいところがある。夢を持った前向きな女性という意味では朝ドラヒロインの類型に見えるが、脚本の北川悦吏子は鈴愛を単なるいい子として描いていない。それが一番表れているのが、律との関係だろう。鈴愛は律との関係は特別なものだが、恋愛は別だと考えており、別の人を2回好きになっている。

 これは朝ドラヒロインとしては軽薄に見えるが、普通の女性としてはよくある感覚だろう。涼次に「28年間、一途に律を思っていたが失恋した」と話す鈴愛に対して、ナレーションで「自分の都合のいいとこだけつなげて、ストーリーねじ曲げてます。こういう人っているわよね」とツッコまれる始末。

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