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日刊サイゾー トップ > 社会  > 長野県民なら誰もが知る胃袋の桃源郷

長野県民なら誰もが知ってる、もう一つの食卓……「みんなのテンホウ」は胃袋の桃源郷だった!

 その後「テンホウ」は、さまざまなことに挑戦した。一時は多店舗展開を考えて、長野県外に出店したこともある。ラーメンチェーンのFCに参加したり、スパゲッティや持ち帰り弁当、コロッケなどに挑戦したこともある。

 実際「このシステムであれば1,000店舗はいける」といわれて、心の動いた時代もあるというが、そうはしなかった。

 なぜなら、そうしてしまえば、どうしても手薄になる部分ができてしまうからだ。

「テンホウ」の店舗の大きな特徴は、オープンキッチンになっていること。お客は、自分たちの料理が出来上がるのを、今か今かと見ながら待つことができる。拡大によって必然的にやってくるサービスの低下よりも、世代を超えて通ってくれる人々へ情熱を注ぐことをテンホウは選んだのだ。

カウンター席もあるから、ぼっち客でもまったく苦にならないのがいい。ファミレスよりも気軽か

 だからといって、決して保守的になっているのではない。中華料理に限らないメニューが次々と投入されていくのは、その現れ。社員からも発案があれば、次々と採用して新メニューを試しているのだという。

セットメニューは危険である。なにせ、腹ペコな男子基準なのか腹いっぱいになりすぎるのだ
時々、どうなってるのかわからんけど、迫力のある限定メニューも登場。これだから飽きることはない
家族連れで来店するとこんなサービスが。これが地元に愛される秘訣というところだろう
ポテトチップスはけっこうな大袋なのだが中毒性というべきか一度食べ出すとやめられない

 なぜ、これが中華料理屋にあるのかと思ってしまうアップルパイは、今も時々厨房に立つ孝三郎氏が「今は、これだ!」と発案したものだそう(ほかを食べ過ぎたので注文するタイミングを逸したが、人気メニューだそう)。

 そんな地元に愛される店となった秘訣の一つとして大石氏が語ったのは「あまり美味しくしすぎない」ということ。極上の美味しい料理であれば、一度食べたら満足しきってしまう。それよりも「今日はご飯をつくるのが面倒だから、テンホウに行こう」という感覚で利用してもらえる家庭の食卓の延長が、大石氏の考える理想形だ。

 世代を超えて一つの完成形へ到達し、さらに進化を続けている「みんなのテンホウ」。

 長野県を訪れる機会があれば、ぜひ、その味と客席の満足そうな表情を見てほしい。
(文=昼間たかし)

最終更新:2018/07/22 21:00
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