“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の過激すぎる夫婦喧嘩が映画『焼肉ドラゴン』で解決しちゃった!?
#インタビュー #瓜田純士
――笑いの間が合わなかったこと以外の不満点は?
純士 お役所の人が立ち退きを要求しに来る場面が、もう3、4回あってもよかったかも。で、全員が冷徹な役人ってわけじゃなく、中には情が移ってしまう役人もひとりぐらいいて、家族と一緒に飲んだりするシーンでもあったほうが、人情味が出ただろうし、解体されたときの切なさもより一層出たんじゃないかと。あと、個人的にちょっと不満だったのは、飛行機の音がうるさすぎた点と、真木よう子の芝居が重すぎた点ですね。真木は『孤狼の血』のときはあの重さがハマったけど、今回は足を引きずってるワケありの長女ってだけで重いんだから、もっとラフに芝居してほしかった。終始深刻な顔だったし、ドスのきいた声でガチトーンで来るもんだから、超シリアスな物語なんだと思って序盤は構えちゃったよ。ヤカンのシーンは笑ったけどさ。
麗子 西の人は重いこともあえて重さを表現せず、結構さらっと言ったりするから、あの演技は確かにちょっと重かった。あと、ケガした足をわざわざ人前で洗うのは、なんかわざとらしくていやらしいねん(笑)。でも、その真木よう子が、日本語をしゃべれない初対面の人を身内のパーティーに招き入れるシーンは好きやで。顔を合わせたら誰とでもすぐ仲良くなるあの感じは、西っぽいと思ったわ。
――大阪出身の奥様から見て、役者陣の関西弁はいかがだったでしょう? ちなみに大泉洋は北海道、真木よう子は千葉、井上真央は神奈川、桜庭ななみは鹿児島出身です。
麗子 85点ですね。みんなものすごく頑張ってましたが、感極まると、イントネーションがおかしくなったり、「アカン」が「ダメ」になったり、ところどころ不自然やったかな。でも演技は全体的にめっちゃよかったです。井上真央なんて、幼少期の自分を見てるようで、ホンマにうまかったです。
純士 大泉洋もよかったよね。イケメンじゃないし、強くもないけど、強がってみせて、結局トホホな感じになるっていう、あのサジ加減が絶妙で。
麗子 大泉は、人間味があって親近感湧くよな。
純士 恋敵とやりあうシーンでも、あれがたとえば江口洋介だったら相手を一喝して終わっちゃうんだろうけど、大泉だと「なんだこの野郎!」と相手からやり返されちゃうから面白い。
麗子 おもろい顔してるしな。あと、アボジとオモニもよかったな。新大久保あたりに住んでる素人さんちゃいます? って感じ。ドキュメンタリーかと思ったわ。
純士 そう思わせるってことが、役者として一番すごい。
――ところで、在日韓国人に対する差別やいじめは、おふたりの身近にありましたか?
麗子 親の世代から、なかったと思います。たまに「あの子は在日だ」とかいう噂が立つこともあったけど、個人的にはどうでもいい問題だったので、確かめもせず一緒に遊んでましたよ。
純士 自分がガキの頃の新宿には、すでに当たり前に韓国人が街や学校にいたので、差別はなかったし、韓国人と聞くと「金持ちなのかな」と思う程度で、いじめの対象にもならなかったですね。でも、近所の韓国学校とはよく喧嘩をしましたよ。自分がいた中学の先輩が弱かったせいで、「日本人はたいしたことない」とナメられてた感があります。韓国学校の生徒にいじめられて「ママに言いつけるぞ」と言って逃げ帰った日本人もいたらしいから(笑)。
――結論として、この映画を見てよかったですか?
純士 『万引き家族』のようなズッシリくる感じはなかったけど、娯楽作品として十分に楽しめました。
麗子 見てよかったというか、おじゅんに見せれてよかったです。ウチは最近、ふわっちの配信中や日常生活の中で関西色を出しすぎて、おじゅんによく怒られてたので、この映画を見せることによって「ひよっけは実は100分の1も関西色を出してへんのやで。普段からめっちゃ我を抑えて頑張ってるんやで」ということを夫に伝えられてよかったです。
純士 ひよっけには悪いけど、俺はこの映画を見ても、その言葉を聞いても、そこについてはなんも伝わってこないよ。
麗子 はぁっ!?
純士 大阪ではカカア天下でハシャいでこれたのかもしれないけど、東京だったら通用しないですから。ありえないですよ。
麗子 東京に通用せんでも、おじゅんに通用すればええやんか。
純士 そんなの大阪でやってろ、って話ですよ。「大阪ではもっとイキってたんや。そういう自分を捨てて来たんや」という思いが強いせいで、最近ちょいちょい地を出そう、地を出そうとするから面倒くさいんですよ。
麗子 出てまうねん。楽しくなったら。
純士 それが鼻につく。
麗子 それってひどない? 人格否定や! 昔のひよっけは、もっと元気で、もっとしゃべって、もっと笑ってってしとってん。それを完全に押し殺したら、仮面夫婦になってまうやろ? そんなんやったら離婚したほうがマシや!
純士 (しばし沈黙したのち)……まあ、冷静になって考えてみると、どんなにキャンキャン粋がったところで、所詮はひよっけひとりじゃないですか。大阪から出てきて俺に人生を捧げてくれてる。彼女にとって東京はアウェイですよ。そういう立場の人が粋がったところで、たかが知れてるし、俺にはそれを包み込む器量さえもないのかよ、と思うと、ちょっと自分が情けなくもなるかな。
麗子 そうやで。もっと泳がしたってよ。1回こっきりの人生なんやから。
純士 俺は、常識人になりすぎちゃうところがあるんですよ。もっとくだけていいような場面でも、「他の人に迷惑をかけるから」みたいなところが。
麗子 あんねん、堅苦しいところが。
純士 その生真面目なところが、ひよっけ本来のノリからすると、「大人ぶってる」ということになるんでしょう。
麗子 そうそう、すぐに大人ぶりよんねん。
――純士さんはこう見えて、紳士的なところがありますからね。
純士 顔にタトゥーがあるからこそ、余計にそういうところで気をつけようと思うんですよ。
――奥様は、標準的な関西娘なのでしょうか? それとも?
麗子 ちょっと上品なほうです(急に澄まし顔になる)。
純士 あのですね、彼女は下品の見本市みたいなところがあるんですよ(笑)。
麗子 ひどーい!
純士 ウソウソウソ(笑)。そういやこないだ、ひよっけが道端でなんか食べたいと言い出したから、俺は通行人に迷惑がかかるから人のいないところで食えって注意したら、喧嘩になったんですよ。そこでひよっけが言い放った言葉が、すごいですよ。「道はものを食べるためにあるんやで!」だって(笑)。あれはさすがにウケましたね。
麗子 ええ言葉やないの(笑)。
純士 自分の嫁の好きなところは、ハングリーさですね。スーパーに行って両手で抱えきれないほどの荷物になっても、「袋は4円もかかるからもらわんで!」とか言うんですよ。まあ、恥も外聞もないんだけど、家計を守るという意味では最良のパートナーなのかもしれない。そんな彼女には「ホテルのロビーでは騒いじゃダメだよ」なんていう俺の紳士的なアドバイスは、馬の耳に念仏なんですよ。
麗子 なんでそんな眠たいこと言うてんねん、思うわ。眠たいわ~、ホンマ。
純士 眠たきゃ道で寝ればいい、みたいなノリなんですよ、ウチの嫁は(笑)。
麗子 人生、毎日を全力で楽しまないと。いつ死ぬかわからんねんで。ウチひとりぐらい粋がらせてみぃや。押さえつけたら可哀想やろ。生きてんねん、ひよっけも。
純士 まあ、それもそうだな……って、『焼肉ドラゴン』とは全然関係ない話になっちゃいましたね(笑)。
* * *
「離婚」という言葉が飛び出したときはヒヤッとしたが、瓜田夫妻はその晩、ふわっちで仲良くカラオケ配信をしていた。「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」とは、まさにこのことだろう。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
『焼肉ドラゴン』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 30点
麗子 80点
※瓜田純士&麗子のふわっち(週1回程度の不定期配信)
https://whowatch.tv/profile/t:Junshiurita
※瓜田純士の人生相談「No problem」
https://kinngofoutlow.jimdo.com
※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/
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