愛国心か炎上商法か――米中貿易戦争を受け、中国で米国人への“私的報復”相次ぐ
#中国 #アメリカ #トランプ
トランプ米政権が6日、中国からの輸入品に340億ドル(約3.8兆円)相当の追加関税を発動すると、中国もすぐに報復措置を発動。米中貿易戦争が本格化する中、中国では、民間企業による“私的報復”が行われている。
「東網」(7月14日付)によると、広東省深セン市にあるホテル「深セン摩登克斯酒店(Shenzhen Modern Classic Hotel)」が「米国籍の宿泊客に対し、料金を一律25%上乗せする」との声明を発表した。さらにその文言の下には小さい文字で「米国は紛争を選んだので、我々もそれに付き合うことを誓う」と記し、決意表明をしている。
記者が同日、電話で問い合わせたところ、広報担当や責任者は不在。電話を受けた従業員は、「そんな通達は見たことがない」と否定した。しかし、中国版Twitter「微博(ウェイボー)」では、ホテルのデジタルサイネージにでかでかと表示された声明の画像が投稿されており、言い逃れはできない。
同様の私的報復は、レストランでも行われている。米政府系放送局「ラジオ自由アジア(RFA)」(10日付)によると、湖南料理チェーン「郷里湘親」のある店舗の入り口に「本日より米国籍のお客様からは、25%の関税を徴収しなければならないことをご了承ください。クレームは米国大使館まで!」との通達が張り出された。
パスポートの提示が必要なホテルならともかく、レストランがどうやって米国人か否かを見分けるのかは疑問だが、こんな張り紙があれば米国人は寄り付かないだろう。明らかに国籍差別であり、かつて存在した「外国人料金」の時代に逆戻りしたかのようである。
ネット上では、「結局ただの炎上商法だ」「民間企業に関税を徴収する権利があるのか?」といった冷静な書き込みがある一方で、「オーナーは本当に勇敢だ」と称賛の声も上がっている。貿易戦争が長期化すれば、中国での米国人叩きがエスカレートするかもしれない。
(文=大橋史彦)
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