もし相方が漫才の最後に「もうええわ!」を言わなかったら……番組企画でボケ芸人がマジギレ!?
#お笑い
■「相方はいつも俺のことを下に見てる」(ダイアン津田)
今回登場したのは、声優・野沢雅子のものまねでおなじみのアイデンティティだ。野沢をものまねする田島直弥がボケで、ツッコミの見浦彰彦が「もういいよ!」を言わないという流れである。
漫才が始まった。そして、オチのくだりに差し掛かる。ここで予定通り、見浦がツッコまなかった。戸惑った田島は悟空のキャラに徹したまま「どうした? おめえ、なんだおい。オチだぞ?」「おめえ、なんけえ(何回)やってるネタだ!」「フザけんなよ、いいかげんにしろ!」と憮然とした表情になってしまう。どうやらこの2人、コンビ内で明確な上下関係があるようだ。
「あんなことがあったら、ファミレス行って2時間(の説教)ですよ!」(田島)
続いての登場はダイアンだ。このコンビは、ツッコミの津田篤宏がボケの西澤裕介に対して思うところがあるらしい。
「いつも俺のことバカにしてる! 下に見てる」(津田)
だからこそ、「ツッコミの存在を感謝してもらう」という今企画の趣旨は、津田にとって待望だった。
いよいよ漫才が始まった。そして、オチのくだりに差し掛かる。すると、津田は満を持して「もうええわ」を言わない! すると、やはり西澤は困惑。そして、小声で「言えや」「何してん?」と津田を注意。ついには、客前で津田を殴りながら「お前、アホなんか!?」「お前が『もうええわ』言えや!」と激高してしまった。らちが明かないと判断した西澤は、自ら「もうええわ、ありがとうございました!」と締めて舞台を降りた。
実は、津田には前科があるらしい。
「こいつ、過去に1回やってるんすよ。ルミネの出番で『もうええわ!』ってセリフがホンマに出なくなってむちゃくちゃになったことが、過去に1回あるんですよ。『また、それになった!』と思って」(西澤)
ボケとツッコミの関係性は、当然ながら各コンビで異なる。テレビ界ではツッコミへのニーズが高まっているが、ダイアンやアイデンティティのようにボケが上位にいるコンビは少なくない。でも、今回は下位にいるツッコミが反逆した格好だ。
ネタ中で面白いことを言うのはボケ。ツッコミは、主にそれを律する側。ある意味、損な役回りだが、引き換えとしてツッコミにしか持つことのできない権利があるということか。
かつて、ビートたけしはツービートの漫才について「細かいセリフは決めず、アドリブはガンガン入れながらオチというゴールに向かっていく感じ」と表現したことがある。でも、ツッコミが「もうええわ!」を言わなければ、オチがオチでなくなってしまう可能性だってある。家に帰ろうと思ったら、その家自体がなくなっていた、みたいな状況。恐ろしすぎるではないか。
(文=寺西ジャジューカ)
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