フジテレビ月9『絶対零度』10.6%好発進も、米ドラマ“丸パクリ”の弊害が……
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■「ミハン」マシンに魅力がない……
すべての国民の行動をGPSで捕捉し、防犯カメラや無線通信、電話などを傍受し、預金の出し入れまですべて把握しているらしい「ミハン」ですが、初回から間違えました。「人を殺す」と予言された富樫という男は誰も殺さず、逆に殺されてしまいます。そして、その誤りに登場人物たちが振り回されることになります。
冒頭で『PERSON of INTEREST(PoI)』のパクリ説を紹介しましたが、この米ドラマのマシンは「殺人を犯す人物」ではなく、「重大事件に関係しそうな人物」を弾き出すものです。ここで『絶対零度』は『PoI』を下敷きにしつつ、改変を行っているわけです。
おそらくこの改変は、設定のインパクトを求めたものでしょう。「関係しそうな人物を」よりも「殺人者を」のほうが、なんか印象が強い。しかし、設定のインパクトを強めたせいで初回から間違っちゃった「ミハン」は、すでに万能感を失っています。ただ国民の行動情報を違法に集めるだけ集めて、間違った提示を出すマシンとなってしまっているわけです。
そもそも殺人事件で加害者と被害者が瞬時の判断や偶然によって入れ替わってしまう、殺されそうになった人が逆に相手を殺してしまうケースなどというものを、私たちは何度もドラマや映画で見ています。実際にも、往々にしてあることなのでしょう。だから、こんなこと言ったら身もフタもないんだけど、データ収集によって「重大事件に関係しそうな人物」を弾き出すシステムはあり得ても、明確に「殺す側(殺害に成功する側)」を言い当てるシステムなんてものは、あり得ないのです。
かように、物語の中心に屹立すべき「ミハンシステム」に畏怖も魅力も感じられないので、ドラマそのものが上滑りしているように感じられます。おそらくは今後、資料室メンバーの誰か、山内くんなり井沢警部補なりが「ミハン」によって「こいつが人を殺すよ」みたいな予言をされ、「なんでオレが……?」みたいな展開も出てくると予想しますが、いずれにしろ毎回、物語の起点となるのが「ミハン」の予測だとすると、ちょっとそれに乗っかれるかどうか不安だなぁというのが初回の正直な感想でした。今後、「ミハン」が危険人物をリストアップするたびに「正解なの? 間違ってんの?」と疑う必要が出てきてしまった。
■金塊密輸の話
あと、完全に余談なんですが、金塊の密輸のくだりで、運び屋さんたちが税関をスルーしていましたが、実際には最近、韓国経由の金塊密輸は盛んに摘発されているようで、おばちゃんたちが尻の穴から数キログラムの金塊を突っ込んで密輸しようとしては捕まっているというニュースを耳にします。
まあだいたい捕まるんでしょうけど、仮に成功すると、おばちゃんたちは尻の穴から黄金を出すことになるわけです。SMの世界ではウンコを「黄金」と呼ぶらしいので、なんだかしみじみする今日この頃ですね。暑い日が続きます。では、また次回。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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