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日刊サイゾー トップ > 社会 > メディア  > 殺害事件でメディアが“ZOZO忖度”

Hagexさん殺害事件で、大手メディアの“スポンサー忖度”発動!「ZOZO批判のセミナー内容はNGで」

「テレ朝news」より

 先月24日、福岡市で情報セキュリティー会社員の岡本顕一郎さんが殺害された事件で、テレビ情報番組や週刊誌など一部メディアが、過去に被害者のやっていたIT関連セミナーの内容について「報道NG」としていたことがわかった。その理由は、岡本さんが通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの失態を扱っていたからだという。

 被害者の岡本さんが殺されたのは、6月24日のブログ運営に関するトラブルのセミナーを開催した直後のこと。ネット上での迷惑行為から「低能先生」というあだ名で呼ばれていた無職の松本英光容疑者が、その迷惑行為を通報するなどしていた岡本さんに一方的な恨みを持って、背後から刺したと見られている。問題のセミナーは、岡本さんが「Hagex」のハンドルネームで活動していた中で、実際に顔出しで登場していた。その内容も含め、事件を報じる上で重要な材料になるのだが、ある情報番組では制作スタッフに「セミナー内容については、できるだけ触れない」と通達があったという。

「触れないというのに、その理由が上からまったく伝えられなかったんですが、こういうときは例外なく、表にしにくい大人の事情がある場合ですよ」と番組スタッフ。

 6月のセミナーは「ネットウォッチ勉強会 かもめ」と題され、シリーズ2度目の開催だった。テーマは、ブログのアクセス数向上や、運営トラブルの対処法を解説するもので、それ自体に報道がNGにする理由は見当たらない。しかし、前回4月、東京・豊洲で行われた1回目のセミナーの方は、オーダーメードのビジネススーツ発売などで話題のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を扱ったものだったのである。

「なぜZOZOTOWNの祭りは起こったのか?」

 こう題されたテーマは、スタートトゥデイの社員として知られる田端信太郎氏の炎上発言についてだった。3月、田端氏はTwitterで「誰か、高額納税者党を作ってほしい。少数派を多数派が弾圧する衆愚主義じゃないか」と発言し、これには「納税額の少ない人を馬鹿にしている」「庶民を見下す企業」という批判が巻き起こり、多数の人々がネット上で「ZOZOTOWN退会」を宣言したのだった。さらに“富裕層の味方”と揶揄された田端氏はその後、「お金ください」と求めた人に、LINE pay経由でお金を渡すキャンペーンを始め、氏を絶賛する人々が出たことで、これまた「札束で顔ひっぱたかれてる」などと議論になり「乞食祭り」などとも呼ばれる現象に発展した。

 岡本氏は、こうした一連の騒動をセミナーで解説していた。参加者によると「解説は冷静かつマジメな分析で、企業の失態を面白おかしくイジるものではなかった」という。

「ただ、参加費は1,000円で安いのに、定員50名に届かず30名ぐらいしかいなかった。そのせいかHagexさんは次回、福岡での開催を予告しながら『人が集まらないかも』と心配していた」

 知る人ぞ知る地味なセミナーだったわけだが、これが番組的には触れたくない話だったようだ。

「ZOZOTOWNは、いま最も勢いのある企業で、大きな広告主にもなりますから、もともと扱いには神経質でした。前にZOZOを扱った別のニュースでも、コメンテーターに、わざわざ“批判はダメ”と伝えていたほどですからね。だから、セミナーについて触れるなというのは、間違いなくZOZOに気を使ってのものだったはず」(前出の番組スタッフ)

 こうした気遣いは、テレビだけでなく雑誌も同様で、ある週刊誌で本件について記事を書いた記者がこんな話をしている。

「事件についての記事で、ZOZOの炎上を扱った初回のセミナーについて触れた部分が編集部にゴッソリ削除されていた。直接、ZOZOを批判したものではないのに、なぜかうちの編集長やデスクが神経を尖らせているみたいだった」

 メディアは時代が注目する上向き企業にめっぽう弱い。NHKでは『ニュースウォッチ9』が7月3日、スタートトゥデイの前澤友作社長の理念を絶賛するような内容のインタビュー企画をたっぷり時間を割いて放送。これには「とてもニュースと思えない」との異論も出ていた。メディアの“勝ち組”への過剰な気遣いは今後もさらに強まりそうだ。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2018/07/09 22:30
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