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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 女たちが勝ちたい相手は男じゃない!? 
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.487

女たちが本当に勝ちたい相手は男ではなかった!? 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』『菊とギロチン』

女相撲を題材にした『菊とギロチン』。女相撲一座に入門した花菊(木竜麻生)は、ひたすら強くなることを願う。

 7月7日(土)より公開が始まる瀬々敬久監督の『菊とギロチン』も“女の闘い”をテーマにした意欲的な歴史ドラマだ。女子プロレスにバトンを渡し、現在は興行が途絶えてしまった女相撲だが、江戸時代中期から明治・大正・昭和初期には女相撲の興行が各地で行なわれた。女性ならではの華やかさと観客の想像を上回る力強さを併せ持った女力士たちは、興行先の人々を魅了した。女相撲の歴史を知ると、「土俵は神聖な場であり、女性が土俵に上がると穢れる」という言説は、大相撲が生み出した迷信であることが分かる。日本相撲協会が「女人禁制」に固執しているのは、自分たちの利権を守ろうとしてきた先人たちの頑迷さを盲目的に受け継いでいるに過ぎない。

“テニスの女王”ビリー・ジーンも、土俵に生き甲斐を見出す『菊とギロチン』の主人公・花菊(木竜麻生)も、闘う相手は目の前にいる対戦相手ではない。本当に闘っている相手は、社会の偏見や既得権益の上にあぐらをかく輩たちだ。自由な生き方を認めようとしない排他的な保守勢力に向かって、ビリー・ジーンは強烈なスマッシュを、花菊は逆転の内無双を放っていく。
(文=長野辰次)

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』
監督/ヴァレリー・ファリス&ジョナサン・デイトン 脚本/サイモン・ボーフォイ
出演/エマ・ストーン、スティーブ・カレル、アンドレア・ライズブロー、サラ・シルヴァーマン、ビル・プルマン、アラン・カミング、エリザベス・シュー、オースティン・ストウェル、ナタリー・ラモレス 
配給/20世紀フォックス映画 7月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
c)2018 Twentieth Century Fox
http://www.foxmovies-jp.com/battleofthesexes/

『菊とギロチン』
監督/瀬々敬久 脚本/相澤虎之助、瀬々敬久
出演/木竜麻生、東出昌大、寛一郎、韓英恵、渋川清彦、山中崇、井浦新、大西信満、嘉門洋子、大西礼芳、山田真歩、嶋田久作、菅田俊、宇野祥平、嶺豪一、篠原篤、川瀬陽太 ナレーション/永瀬正敏
配給/トランスフォーマー 7月7日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開 (c)2018「菊とギロチン」合同製作舎
http://kiku-guillo.com

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最終更新:2018/07/13 12:24
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