『孤独のグルメ』最終回は、まさかの角野卓造登場!“本当の名店”のかつてないニラ玉で最終飯
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■エビチリで終わりかと思いきや
さらにエビチリが到着。絶妙なオレンジ色のとろみ餡が艶かしく光る。
大きめのエビを頬張り「これはいいエビチリだ。生姜が効いてる」と絶賛。
筆者は過去に料理本を見ながら拙くもエビチリを作ってみたことがあるのだが、確かにニンニクも生姜も刻んで入れた。しかし、まず第一声でエビを差し置いて生姜を褒めるのが、さすがだ。
「エビチリからのエビトー(スト)」とエビリレー。
前回はガリガリ君(ガーリックスープにガーリックトースト)だったが、さしずめ今回は「エビエビ君」か。
さらにエビトーに食べるラー油をかけて「味変え」。どこまでも楽しみ尽くす五郎。
メニューにない「ニラ玉ラーメン」を頼む常連客が「(味がぼやけるけど)どっちも食べたいんだもん」と笑うのを聞きながら、
「その気持ちわかります。俺とてニラ玉、エビチリ、どっちも食いたい、どうしようもない奴です」と勝手に心の中で自己紹介。
いつもそうだが、五郎はまわりの雰囲気も「食べて」いる。
気づけば回りのテーブルが「ニラ玉」で埋め尽くされていくのが壮観。
「ノーヒントで店の看板メニューを引き当てた自分を褒めてやりたい」と自画自賛したくなる気持ちもよくわかる。グルメサイトで得た情報で食べた時には得られない快感。
パセリも完食し、いよいよ今期も終了かと思いきや、「追加でチャーシュー麺ください」ときた。常連客の「ニラ玉ラーメン」を見て我慢できなくなったのだ。これぞ五郎。
Season7の初回、とんかつを食べた後に「追いステーキ」という荒技を見せてくれたが、今回もいわば「追いチャーシュー麺」。
予想を超える追加に角野もたじろぐ。
■庶民中華とは何か
出てきたのはオーソドックスなチャーシュー麺。五郎はチャーシューを噛みしめなごら「この店の誠実さが染み込んでいる」と、うれしそう。面と向かって言われたら「うるせえな」と思ってしまいそうだが、心の中だからOK。
そして麺をすすりながら「これこれ、『庶民中華』のラーメンだ」と喜ぶ。
今日は「庶民メシ」「庶民味」とやたら「庶民」という言葉を乱発しているが、今回も昼からメイン3品、しかもラーメンじゃなくチャーシュー麺というブルジョワ・オーダー。
むしろ「庶民」を乱発しすぎて、逆に五郎がお忍びで下界にやってきた王家の人間に見えて来る。一度でいいから五郎の収支を見てみたい。
いわゆるこの場合の「庶民中華」は、やたら志を掲げるラーメン専門店とかでない「町中華」という意味なのだろう。五郎は最後にSeason7を総括するように、こう言っている。
「こういう普通のラーメンがいいんだよ。『どうだどうだ』という押し付けがましさが微塵もない、町の定番。でもこんなラーメンを食べられる店が、都会ではどんどん減っている」
「毎日、八丁堀界隈で働く人々に普通の美味しさを淡々と提供し続ける。時代に媚びず、背伸びもせず、地道な味の工夫で客の心をがっちり掴んでいる。こういう店こそが本当の名店だと思う」
一瞬、宮沢賢治の詩かと思ったが、五郎のコメントをほぼ添削しているという原作者・久住の想いがこもった言葉だ。
「最後はチャーシュー1枚締め。よーーお。(ぺろり)」で終了。チャーシューを用意して一緒に「締め」たかった。
「気持ちいい食べっぷりですね、見てる私までお腹いっぱいになっちゃいましたよ」と角野もご満悦。「お会計お願いします」と言われた時の角野の「あいよ!」の声が心地よく響いた。
「まだまだ、すごい店があるもんだ。明日は浅草か。何を食おうかな。」と街に消えていく五郎。
つづく「ふらっとQUESUMI」も最終回だからと特段変わった部分もなく、いつも通り酒を飲んで申し訳程度の挨拶をしておしまい。
気取らない最終回ながら、最後の「本当の名店」に対する台詞には熱い想いを感じた。
当然あるであろうSeason8に期待もかかるが、力を抜いて作り続けて欲しい。
(文=柿田太郎)
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