AVの次に問題化?――風俗嬢を追い込むブラックな労働環境
可視化しづらい風俗業界の実態
数年前、AV出演強要が社会問題化し、AV業界の労働環境は少しずつ是正されつつあるようだが、今度メスを入れるべきは性風俗業界かもしれない――。風俗店側に書かされた“借用書”によって、風俗嬢が追い詰められるケースがあるという。しかし、この業界の特徴として、悪質な店舗の実態は見えづらく、女性は声を上げづらいのだ。
風俗嬢のために生活や法律の相談を受けている「風テラス」のホームページ。
「タレント、モデルの仕事をしないか」とスカウトされて契約を結ぶと、無理やりAVに出演させられるという、いわゆる“AV出演強要問題”。2016年に社会問題化し、逮捕者が出るなど業界全体にメスが入った。そして、「AVの次は性風俗業界かもしれません」と語るのは、労働事件や性差別、性暴力問題に詳しい板倉由実弁護士である。風俗業界では雇用に際して契約書がほとんどなく、口約束が多い。そこで、不当な方法で女性を縛りつけ、働かせていることがあるという。実際に次のような案件があったと板倉氏は話す。
「デリヘルで働くある女性は、店から『月50(万円)は稼げる』『事務所での待機にも1日1万円が支払われる』と言われ、“寮”としてマンションの敷金・礼金を25万円ほど貸し付けられたといいます。『敷金・礼金は自分で支払う』と一度断っても、『月々の報酬から少しずつ返済していけばいいから』と借用書を書かされたそうです。そこで実際に働いてみると、客が付くまでの45日間、自宅に帰してもらえず事務所に連日待機させられ、当初言われていたその分の支払いはなし。1回だけ客の相手をし、支払われたのは手取り1万5000円。これでは到底生活できないと女性が辞めようとすると、『借金を返せ、借用書がある』『少額訴訟を起こす』とすごまれたとのこと。少額訴訟は基本的に1日で判決が出る訴額60万円以下の訴訟ですが、裁判と聞いた女性は怖くなり、私の事務所に相談に来たわけです。しかし、面倒を避けるために、店に言われるまま借金を返し、泣き寝入りする女性も少なくないようです」
板倉氏は店側の訴訟に異議を申し立て、未払い給与の支払いに加えて、男性スタッフによるセクハラ、不当訴訟による損害賠償請求などを求める反訴を起こした。
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